以前ですとペット可って「ペット可希望」の調査行った時にしか登場しませんでした。
しかし何時ごろからでしょうか、通常調査の時に(母数に対しての抽選率は3%〜5%の上位)「これはペット可なんだ」的に普通に含まれてくるようになっているのです。
どういう意味かと申しますと、
以前のペット可はルームシェア可同様に「バリッと設備改装する体力の無い大家さんがぶっちゃけ苦し紛れに可として」のような流れが大半だったのです。
分譲賃貸で管理規約がペット可でも区分所有のオーナーの賃貸管理には関係ありませんから、資産保全のリスクを考えればペットNGが主流だったのは確かなのです。
(※まだリベラル層の多い東京だからペット可を探すのは容易ではありませんが普通ですが、保守系が強い地方の場合はあまりにペット可が少なくて、ペットのために分譲や戸建ての購入考えるとかある話なんですよ。)
法的には「ペットの飼育だけで解約や退去を求める強制権はありません」、ですが賃貸契約は基本構造が「両者合意の覚書」的性質のものなので「約束違反」の範囲の中で退去・解約を求め続ける根拠となります。←つまり誰もその存在を知らなければ問題無いワケですが、契約そのものが公正証書契約では無いので「同様に借主側もペットを飼う権利を強要する権利も無い」という枠組みなんですね。
欧米ではペットを飼うのは自然な事なので(賃貸契約で「室内にTVを置いてもいいですか」と聞いたり覚書を交わすことありませんよね)「ペット不可の賃貸があるのは理解ができない」ことになるのですが、ここには日本の事情がありまして。
ご存知のとおり戦後日本の法体系はGHQリベラル理想主義的な市民社会優位のものにあるので、賃貸契約についても「基本借主優位」です。
その枠組みの中で「大家さん側に即入居が可能な造作設備の無い場合住居として賃貸契約を無ずぶ事が禁じられています」=大家さんが住居契約を前提とする場合「即入居を保証する造作設備の機能性能を保証しなければならない」のです(設備とは『重要事項説明書』に記載されるもの)。
となると、そこは日本人ですから「退去後のルーチンリフォームをしっかりやって」と解釈され、大家さんは退去後の部屋をバリッと綺麗にする業務慣行が定着しています(隣の大家さんとも横並びにもなりますから一気にそれが標準化する)。
これに比較して欧米の賃貸は、まず日本のように水周りなどを各室に揃える事もしませんし、極端な話「ほぼ現状貸し」であり、機能性能を保証しなくてもよかったりします。所謂「日本なら倉庫貸し的内容でもよい」ことになるんです(入居者がDIYで管理するみたいな)。
ですから、勿論の事ペットの傷も何も貸す前から修繕すべき造作価値もなかったりするのでペット可の判断に特別考えなくてはいけない部分も無いのですね。
さて、しかし先進国の生活では「ペットNG」というのも非常識でありまして、
昨今分譲マンションのほとんどが管理規約上ペット可です。
賃貸物件は常に先端を走る分譲マンションの影響受けますから、一般賃貸でもペット可が増えるのは自然の流れとなります。
■『東京都紛争防止条例(俗称東京ルール)』ではペットの汚損破損は借主の原状回復義務と明記されてますので、貸主は堂々と退出後の現状回復費用を請求可能です。
ある意味、通常の賃貸でほぼ退出クリーニング費用を除く敷金を返却する事になったため、貸主側のペット可の場合の原状回復のスケール感が規模として小さくなっているのかも知れないですね。
(※昔は高額の原状回復を事前に想定するあまり、紛争を嫌煙して「最初からペットは不可で」と考える大家さんが多かった。)
冒頭説明の昔のペット可が「リフォームする体力の無い大家さんの限りなく現状貸しの部屋が主力だった」という背景事情はこのようなものだったのです。
●そこが前述のように昨今は随分事情変わってきました。普通に選抜上位の部屋に「ペット可」含まれるようになってきたのです。
(※保証会社契約の一部には「原状回復費用の補償」を謳っているものがあるため、「保証会社」の利用が増えた部分もペット可の増加に貢献しているのかもしれません。←保険会社には「ペット飼育時借主側への原状回復保険」なんて商品も開発してくれないでしょうか。これを契約要とすれば大家さんも安心してペット可は更に増えると思います。)
それこそ昔は「ペット可希望ですか、でしたらお風呂はバランス釜可と考えないと難しいですよ」だったのです(ここはルームシェアの場合も同じ)。
今後更に進む少子高齢化におけるシングル世帯の増加、
ペット可の需要は高まるでしょう。
飼い主が亡くなった後のペットの後見人登録なんてNPOも登場するかもしれません(保険のように会員費を集めて基金化すれば黒字経営も可能に思います)。
■昨今論議されている民法改正趣旨も「ほとんど『東京都紛争防止条例』の全国区化」ですから、今後は地方都市でもペット可を探すことが容易になってくるかもしれませんね。
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