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NPO『HOW's』(活動停止)元心理部門コンサルタント(東京カウンセリング責任者)
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『防犯性』のリアルな側面

2012年09月13日

以前から東京の防犯性は”心理的”な要素が大きく(身辺の危険に及ぶ犯罪発生率が実質的に宝くじ当選確率より低い)、更にオートロックはプライバシー上のグレード設備で実質的防犯性能をもっていないこと等説明してきました。
(犯罪統計的にも東京は日本国内比で発生率の高い都府県では無いです。ダントツで大阪府が高いという説は有力。)

警視庁統計も物件の詳しい条件別のDATAを公開していないので、そこから先は知り得る情報の中から推定してきているのですが、
断片的な情報ですが、これまでの論議を裏付ける報道がいくつかありました。

住居侵入・強姦未遂:女子大生宅侵入、容疑で国立のとび職逮捕 /東京
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20120903ddlk13040124000c.html

わいせつ被害:大半がマンション2階以上 無施錠多く
http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000e040241000c.html

「女性の部屋狙った」 逮捕の26歳男「部屋は無施錠だった」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120622/crm12062207530008-n1.htm


今回も断片情報ではありますが、
■推知されるのは『オートロックマンション2階以上の部屋の危険性』です。
しつこく繰り返しますが、実際に身の危険に及ぶ重犯罪の発生率は宝くじ当選確率級に低く(しかも住居侵入犯罪は圧倒的に共同住宅より一戸建てが多い)、賃貸住宅における防犯性の基本性能は”心理的なもの”である前提の中で、実犯罪の内容から防犯を考えているものです。
(報道されているものの住居がオートロックなのか明示されていない)

しかし事実関係としてこの辺は知っておくべきところで、
マンションの中にはオートロックで無くても、2階以上のベランダバルコニーの側面に鉄格子を敷設しているものもあり(ベランダバルコニーからの侵入が無いので実質的な安全対策となっている)、『グレードと実情は違う』事は予め知っておくべきです。
(侵入経路がベランダバルコニーであれば玄関ドアの防犯性能は約にたたない訳であり:屋上など高階層からの侵入事例もあります。又現代的マンションにバルコニーレスがあったり洗濯物干し禁止なのも設計上正しい判断です。)
防犯カメラなども額面通りの抑止効果は無く(検挙率を上げる機能はあります)、
アパートなどにおける対人感知センサーライトなど「入居者自身で敷設可能な設備」は多数あり(実質面としてオートロック以上の効果あるでしょう)、
窓の内側に防犯格子を突っ張りポールを工夫して設置するなどたいした手間のかからない方法もあり、
【既存設備で人が守られるのでは無く防犯の主力は入居者の意識である】
ここの再確認は必要であると思います。

簡単に言えば『設備任せ』だったり高級グレードマンション(それだけでターゲットになりやすい)の防犯性を過剰に信じ切ってしまうなど、実情とはチグハグナ部分も多くあります。
この辺の矛盾は皮肉にも「実際の犯罪発生率が全然低い(日本は治安のいい国)」ところからマスキングされて問題化していないって事です。

1階の性能を考える場合に「周囲の目が監視してくれている、助けを呼びやすい、自分も逃げやすい」など戦術的な事を挙げれば『1階だからありえる安全性』もあります。
(勿論外乱騒音的に1階は心理的に安心感が強い部屋ではないかもしれませんから、昨今の分譲マンションでは1階はテナントとして全室2階以上という判断は間違いではありません。)
言うならばアパートならなではの安全性もあると言う事です。
同時に木造アパート1・2階は軽犯罪の発生率に警戒すべきで(置き得る犯罪可能性の種類が違う)、自転車泥棒など身近な犯罪は起きやすい側面ありますから(かといって防犯カメラ付きの屋内駐輪場から高級自転車が盗まれる事も実際あります)、ここも実情を入居者が知って対策するという事になりますね。

(家主・管理会社的には実際の犯罪発生率が非常に低い事を知っていますから、何から何まで家主が対策して結果賃料が上がるという管理の合理性は無い訳ですし←賃貸住居で謳われる防犯性設備の大半は”入居を促す得点”であって、殊更実質的に防犯性能が担保される事を専門家に検討させている訳ではありません。)


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posted by kagewari/iwahara at 20:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 部屋探しの心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

震災関連の”ある意味”木造アパート関連のニュース

2012年09月07日

以下の方向性には全く異論が無いのですが木造アパートの今後を考えてみるとちょっと残念です。
不燃化特区 全12地区に 木造住宅密集解消図る
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012083102000110.html

以前から震災関連の被害想定で重要なのは(津波の話はインフラとなるので別問題として)「建築会社が喜びそうな耐震性問題より火災対策である」と話してきましたから上記報道は”全く賢明な判断”であって、この論議は関東大震災後からそうなのであって、日本のRC建築は東京大空襲含む防火対策から始まったと言ってもいいのであり、筋の通った話です。
不動産の経済的背景から見て「都心部には高層RC造」はマストですから都市構造論的にも合致する話ですから残念も何もあるべき方向性であることは間違いありません。

なのですが、
世界的にも異例なぐらい四季が明瞭で梅雨のある日本の気候条件にはダントツで木造家屋の方が居住性が上であり(事実上RCでは外断熱工法ができない)、日本のRCには一部居住性を犠牲にしてもって割り切った判断が背景にあります。
(ベランダバルコニーの設計”ひさしの効果”で断熱性の弱点を調整しているとこあるかもしれない。)
さて、日本に合った建築である木造アパートは今後レアな存在になっていくことになるのでしょう。

災害時の延焼の心配もそれこそ上記政策により徐々にですが解決の方向行くでしょう、部屋探しの時には「マンションマスト」では無く、木造アパートにも優れたものが多いですから候補に加えていただきたいところです。
ざっくりとした印象として木造アパートの弱点は遮音ぐらいなものですが、ここもケースバイケースですね。遮音の問題から引っ越しを検討されている問い合わの圧倒的多数が『現在もマンションの場合』であり、体感される内容と期待のギャップもあると思いますが木造アパートだから近隣騒音問題が起きやすいとは言い切れないのも確かでしょう。
(騒音問題は遮音性能に対する各戸の共通認識が一番重要でもあるのですし)

そこで木造アパートならではの特徴をいくつか挙げておきますと、
「風通しがいい」
「DKが多い」(ストゥディオタイプが少ない←古いのにはあり)
「マンションより広い」(床面積の計算方法の違いから)
「高性能2×4だと断熱性でマンションより有利」
「B・T別が多い(建築様式的に日本建築が主)」
「探せば畳の部屋もまだまだある」
「維持管理コストがマンションより安価なのでリフォームで更新される設備などが下手なマンションより豪華な場合も珍しくない」
「低層なので1・2階しかない(ここはある意味現代的には弱点かもですが)」
「ワンフロア占有タイプは”雰囲気がほとんど一戸建て”の場合が多い(←戸建賃貸よりテイストが戸建っぽいもの多数)」
「木造モルタルは高級2×4に負けるが、リアルウッド系の高級家具は木造モルタルの方が似合う(賃料が安くても本質的高級感が劣る事は無い)」
▲「単純比較はできないが変則レイアウト設計の部屋は下手なRCより遮音性が高い場合も珍しくない」(←ここは事前に担保することはできない特徴ですが結果論的にそういう部屋があるのは事実ですね)
「外出が簡単」(一概に防犯上の弱点にはなりません←詳しくは次回レポートします)「自転車なども適当に置ける」
「賃料が安い」
「排管などの問題も築年数などから心配することがほとんど無い(延長が短い)」
「各方面から風評を集めてみるとやはり軽量鉄骨より木造のが上位である」

キャラ的に「そう考えてみると私は木造アパートのが好きかも」な人もいると思うんですよね。地方都市では尚更木造アパート少なくなっている現状、東京賃貸の木造アパートは日本建築が多いという意味でも貴重な存在になっていくのかもしれません。


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posted by kagewari/iwahara at 19:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 部屋探しの心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする