この前の話の続きみたいな話なんだけれども、「いい部屋」って言葉は「誰のためのどんな」って具体性(それが理由なんだからさ)が無いと、単なる抽象概念で何の意味も無い。
ところが「いい部屋は無いでしょうか」って、言葉は(ナンセンスなのに)気軽に使われていて、心理的には「何を求めるのか」って自分自身の具体的な欲求を抑圧するためのキーワードになっている可能性がある。
その背景を考えてみると、
「いい部屋はないでしょうか」
語源が広告のキャッチコピーなので(対象者が不特定多数なので)、抽象的で意味不明なのは当たり前なんだが、これどういう意味かって言うと、
お客さんの側が「毎度ありがとう御座います」って言うのに似ている。
この面白さに気がついて、昔買い物した後に「まいどアリっ」と自分が先に言っていた時期がある。
店員さんの対応は笑うか、馴染みのお店だと「こちらこそ(馴染みだと客から見ても毎度が成立するので)」って反応になる。
「毎度ありがとうございますって言えるお相手が(一度も会った事も無いのに)どちらかにいませんか?」
変すぎでしょう?いるいないの問題じゃない
それは設問としてあり得ない(=パラドックス)。
例えば賃料のベースが同じなら、部屋の内容のバランスにつていの言葉になる。
@「もっといい部屋は無いでしょうか」のリアルヴァージョンとは
「水周りは犠牲にしてもいいからもっと部屋の広いの無いでしょうか?」
「1階木造でもいいので、ネコの飼える部屋は無いでしょうか?」
「狭くてもいいので、設備バリバリの見栄のいい部屋はありませんか?」
どんな形であれ答えは必ずある。
しかし「いい部屋はないでしょうか」に答えは無い。
話を戻すと、
「何がいいのか知りませんが、いい部屋ありますって広告聞きました。さて何がいい部屋なのかここで見せてそれを証明して貰えませんか?」って意味になるけれども、「いい部屋はないでしょうか」ってそういう意味で使われる言葉じゃないでしょう縲・br style="clear:both;" />
心理学的に『これはいったい何のなせる技』だろうか?
この反対を、これまたパラドックスで説明してみたい、
「いやぁいい部屋があって良かった、まさか“こんな”部屋があるとは」
特徴的なことは、この台詞を発言するお客さんの100%が「部屋を探すまでが大変で、資料が出てからは“ほぼ即決”」であるところ。
ポイントは“こんな”の部分だ。
「特別な便宜供与(特権階級であるとか)無しに」自分にとって特別いい部屋が賃料上限を上げる事無く見つけられるって可能性を最初から疑問に思わないのは、「他の人には無価値でも、“この部分”だけは自分にとって“特別”に大事だ」から、
つまり『ユニーク(:唯一、独自の)』
価値論のパラドックスは、
「ものの値打ちは希少価値で決まるが、その希少性を知る人がひとりだけだとそれは相対的に無価値である。しかし、上記は市場価値的発想に過ぎなくて、その希少価値を「本人が至上の価値だと思えば」主観的価値は無限大である。」
て こ と は
自分にだけ(個性化していて独自性があるため)それは価値があるユニークな部分があれば、そんなユニークの一致点を「探せばいい」のであって、部屋探しのコンセプトを詰める時点で成功は約束されている(見つけられなきゃ始まらないが)。
つまり心理的に「自分にとってだけ特別な部屋」が自意識に認定されている時「いい部屋は無いでしょうか」というパラドックスが入り込むスキ間は存在しない。
ここに「いい部屋はないでしょうか」の謎を解き明かす秘密がある。
カミングアウトじゃないだろうか?
個性化の時代と呼ばれながら、何処となく「それに慣れていない」のが正直なところだと思う。或いは自分ってものに迷いや過剰な期待があると「個性化以前にマルチな可能性の確保に話が飛躍して、結果何も前に進まない」事もある。そうなると「何かいい企画はないですか?」そんな話に妙に実感がある事になるんだけれども、
{左:a2FtZWlkbzAyP7E.gif}
「何かいい企画はないですか?」の答えに対する期待は、「いやぁそうそうあるもんじゃないよ」「確かにそうですよね縲怐vだったり。
ところが、不動産業者の側が「いやぁそうそうあるもんじゃないよ」とは簡単に言えるはずも無く、「これはどうでしょう」って事になる。
答えの予測は「いやぁそうそうあるもんじゃないよ」「確かにそうですよね縲怐vなやり取りなので、「これはどうでしょう」言われれば「たいした事ないな」的な失望が折り込まれてしまう。こうなると平常心だと気がつくような部屋の特徴に無感覚になるので「ひょっとしたらこれがベストだったかも」を見落としてしまう事にも繋がり・・・
ほんとのところ、パッと見些細なとこに「妙に気になる魅力」があったりするんだけど。これって人の出会いと同じ、後から「あ縲怩の人いい人だったな縲怐vみたいな
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『いい部屋パラドックス』をパラドックスで考えてみる。
2006年04月09日
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