「30代中心に「職住接近」の動き」読売新聞
web_retour立ち上げ以来のテーマのひとつが「都心で暮らそう」だったので、その流れが都市文明的なファンダメンタルと一致していた事を裏付ける事になったのだけれど、どうやら上記のニュースで話題の中心になっているのは「新築分譲開発」のようだ。
(他地域からの転入転出の動きをみると、人口増に繋がる転入の内容は「持ち家共同住宅(分譲)」の割合が「民間借家共同住宅(賃貸)」の倍以上である)
確かに伸び率NO1の中央区(35%増)と言えば、もんじゃ焼きで有名な月島辺りにボッコンボッコン新築マンションが建築されていて「ちょっとどうなんだろう」な景観になりつつある。
元々「風呂無しの長屋」なんてーのが沢山有った地域なんだけれども、今は高級マンションと二極分化しているような趣で、「築年数の古いマンション」みたいな賃貸は意外と少ない(中央区は「借家一戸建て」の空室が無い地域としても有名)。
ここにも『分譲か賃貸か』って論議が被る、
プロ的には昨今の供給過剰の分譲ラッシュに呼応するように人口が増えている事でもあるのだけれども、晩婚化とシングルも東京って街のファンダメンタルであって、そこから眺めるとこの分譲ブームはどうなんだろうとも思う。
逆逆と見ていけば、渋谷目黒港辺りで中古の分譲が格安になっているから、往年の名マンションなんかを買うなら今が買い時には違いないけれども(いよいよ景気に連動して金利が上昇するようだし)、それでも資産リスクは高い。
ニュースの文面から読み取ると、購入層は30代だったりするので資産として見ているというより「リーズナブルな買い物」の判断が優先しているようにも思うので、資産リスクについての心配は当面不要なのかもしれないけれども「安い商品ではない」し住宅ローンによる購入なのだから、そうそう安易に考えて購入を決めるべきでは無いだろう。
しかし、この5年間の動きが日本経済デフレ脱却を裏付けているのは間違いない。

賃貸物件の取材と営業をメインに活動している立場から見ると、都心部(新宿・文京・渋谷・目黒・港)への空室調査が私鉄沿線(東急沿線を除く)に比べて圧倒的に多く、分譲の動きに昨今強く賃貸相場が連動しているところからみても都心回帰の流れは動かし様の無いものだと思う。
それは「私鉄沿線から地下鉄沿線へ」とも言えるもので、これから先考えられる「時間外労働の長時間化・在宅勤務へシフトする就労形態(帰る感を体感するための郊外住宅という心理的意味合いの後退)」に対してもそれは有機的に結びつく。
分譲と賃貸相場の連動って部分を注視するなら、分譲の伸びに対してタイムラグを持った形で「これから本格的に都心部の賃貸が現実的な選択になる」のじゃないか、
それは「私鉄沿線にあったタイプの住居が、そのまんま都心部に求められる」のでは無い。都心部ならではの個性派の時代で、暮らし方そのもののヴァリエーションも増えていくんじゃないかと思う。
「改装できる賃貸(実はほとんど有り得ない)」という事業物件のようなニーズがあるのも、造作譲渡じゃないけれど「分譲でも賃貸でも無いオルタナティヴ」を意味しているからだ。
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