用法としては、デザイン事務所と不動産会社(同一の場合もある)が企画を立ち上げて中古マンションを買いこれをリノベーションする事で「内部は新築同様ながら価格はは中古マンションのゾーン」しかも「意匠デザインを含めた個性的な内容への改装」という『価値の創造と再生』というところから生まれたもので、
既にリノベ物件の売買で知名度の高い業者が数社誕生している
リノベーションはデザイン雑誌などでも紹介され、「自分だけの個性的なスペースを低コストで」な流れで紹介される。
同時にレトロマンション特有の味も「新築を上回る内容」として評価され、新しいジャンルとして認知されている。
素材となる中古マンションを安く購入して、自分でデザイン事務所と相談しながらリノベーションすれば、想像以上の価値を生む事は間違いない。完成品を購入するより遥かにカスタマイズされた住居を手にできるし改装コストも自分自身でコントロールできる。デザイン事務所や意匠デザイナーを紹介できる不動産会社に売買の調査・仲介を依頼すれば総合的なコストを購入時から計算する事も可能、
ここに海外の賃貸事情が妙に重なり、賃貸でも「改装可能な物件は無いだろうか」という問い合わせが増えている。
※海外のコンドミニアムは退出したままの現状渡しが多く、内装リフォームのルーチン管理がされていないケースが多い。内装の管理となると「家具付きのホテル=ほとんんど下宿」になるので、日本的な入退出管理された礼敷方式(賃料の一部プリペイドによる長期契約割引)の賃貸住居は日本独特のものなので、改装可能な賃貸というのは基本的に日本では有り得ない。
あったとしても、退出管理をしていない状態の内見による契約の時に改装の希望を添えるとか、元々ペンキ塗り仕上げの部屋を「退出時に経年変化として塗りなおすので、何色に塗っても別に構わない」であるとか、「原状回復を基本に保証金を積んで承諾を取り付ける」等の特異なケースに限定される。
上記の説明でわかるとおり、これが可能な物件は本当に限られている。
そして改装可能だとしても40uランクなら100万ぐらいの改装費用を元に月割でコスト計算して初めて可能になるもので(これも安い例で、40u2DKのフルリフォームは200万ぐらいかかるのが一般的)、現実性を欠いた希望条件である場合も多い。
つまり、2年縲・年ほどで退出する一般的な賃貸住居だと「コスト割れ」する(造作譲渡は不可能)のが当たり前で、素材になる住居の賃貸条件はよっぽど安くないと意味が無い。
※本来賃貸住居におけるリノベーションとは、家主が経年変化を見て全面リフォームするケースの話で「10年ぐらいの減価償却」を元にするもの。これは元々賃貸管理としては昔から一般的な管理であって、築年数の古いマンションなんかだと驚くほど室内の内容がいい部屋が沢山ある。
私が知っている改装の実例は、
代々木では有名な改装可能なマンションにおけるデザイン事務所の改装(入居者自身がデザイン事務所であるため専門家ならではのノウハウで低コストに改装したため大成功した)、そろそろ大改装しなければならない経年変化のポイントでの入居で家主サイドは修繕計画も立てていなかったため「水周りのルーチンクリーニングと壁紙を剥がす所までやって欲しい」と要望し入居後に珪藻土で塗り壁に仕上げた例(この入居者も暮らしの業界人の方で、友人関係にプロの方がいた)、同じく修繕計画を立てていなかった物件に申込む時に「改装の希望要件を添付し」造作の一部について借主負担による改装の承諾を取った例、定期借家長期契約による法人契約で一戸建てを店舗兼事務所へ改装した例(これも入居者自身がデザイン事務所)、住店舗戸建てでこれをアトリエ兼住居で借りた例(入居者は建築関係のプロ)、長期契約実績のある入居者が自分で業者の見積もりを取り付け家主に水周りの改装を自費で希望したケース(結果的には家主も費用の一部を負担した)、借地権売買で家主が上もののアパートを含めて買取った結果改装系のある一室をその後家主さんが日曜大工で改装していて「当然後の入居者による改装も相談」だったケースに限られる。
他に改装承諾が取れる物件の具体例は、取り壊し予定の定期借家で店舗も可能な一戸建て「未修繕状態で、改装の負担についても要相談」ケース、管理会社がそもそも不動産業者というよりリフォーム業者でルーチンでスケルトンからの改装を行うため「何をやってもいいし、管理会社にリフォームの注文を出してもいい」ケース、同じく管理会社が管理物件のリフォームを含めたビル管理会社で「承諾が得られれば室内造作をしてもいい」ケース、ビルの再生過程のアイデアで管理会社が「完全スケルトンでの賃貸=全く室内造作が無くコンクリート剥き出しのハコ」で空室募集をかけていて何をやってもいいケース(この物件の実例は外国籍の入居者が高級ホテルに宿泊するより得だと60uのスケルトンの部屋を400万で改装していた)、既に事務所オンリーになっている住居が現状渡しの事務所として改装可能になっていて使用不能になっている浴室を含めて自費で改装すれば「結果的に改装可能な賃貸住居」を意味するケース、定期借家のマンションで家主さんが素人はだしで「改装までやっちゃっていて」結果的に内容のいい改装だったら承諾が取れるケース、ガレージ系事業用途上階のアパートで改装が自由であるケースとなる。

つまり、こういった物件によって「賃貸でも改装可能」になるには、「そもそも稀な物件に出合い、基礎的に賃料が安く改装のコスト自体を何らかのノウハウで抑える方法がある場合」になる。
「希望賃料は幾らでどこどこの沿線で」というような形での問い合わせはほとんど不可能だといっていい。
しかし、この「リノベーション可能な賃貸」というカテゴリーは(現実性に欠けるものだとしても)確かにニーズとしてある。それは賃貸そのもののの多様化・個性化という流れに繋がるものだろう。
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