
設計は「同潤会青山アパートメント」を設計したこの人『川元良一』
築1932年、同ビルは中央区の文化財に指定されているとの事

外観上の特徴は特徴的な窓枠の造作と、同じビルが2棟連結したようにも見えるシンメトリックな造形(これは建築時の施工にも関係あるらしく、内部の階段も背中合わせに二本並んでいる)と、スクラッチタイルと呼ばれる特異な形状をした外装にある。

周辺をよく見ると(なんせこのビルが竣工当時高層建築と言えば近所のヨネイビルぐらいじゃなかったのか)横に丸窓が覗いていて、隣にビルが無かったときにはよりモダンな外観を見ることができたんだろうとも思う。

この奥野ビルあまりにも有名でいろんな建築系ブログでも取り上げられているんだけれど必ず登場するのがこのエレベーター、これは奥野ビルを紹介する上で”お約束”ともいえるチャームになっている(現在は内部新品です)。

1Fのフロアを見ただけでも、相当衝撃的なんだけれども

一番素晴らしいのは階段なのです。

階段部分を見ているだけで見とれてしまいます

内部には他にも歴史を感じさせる造作も多く

現在は全て事務所となっているのだけれど、『銀座アパートメント』と呼ばれた当時は上階は住居であって、共同浴場、共同トイレを備えた当時では最先端の”アパートメント”であった。入居者には西条八十や、舞台美術家吉田謙吉、歌手の佐藤千夜子らの文化人の他、銀座の芸子さんやダンサー等華やかなりし当時の銀座住民が暮らしていたモダンな住居であり、地下にはボイラーを備えセントラルスチーム式暖房を備えた。居室のベッドは折畳式のウォール・ベッドというもので各室広さは12uほどで現代の3点ユニットの部屋に置き換えれば16u1Rが印象として近いかもしれない。


1932年のこの建造物から現代の建築を見ると「いかに無味乾燥で軽薄化したものか」ちょっと溜息がでる。
広さやコンセプトそのものも、それこそ中銀カプセルを先取りしたメタポリズムじゃん(新陳代謝はしないけれど)とも言えて、日本人ってカテゴリーにおけるシングルの占有面積の考え方そのものを考えされれる部分でもある。

<欲張って画像が多いので、まだまだつづくです> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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