安部政権と言えば新保守主義的的な小泉政権の正統後継者という位置付けなのだけれど、巷の評判ではもっぱら経済学的な保守派というより思想的な新保守主義的人物として知られる。何故か政策的論議との関連性の薄い憲法改正を全面に出して次の参議入選挙を戦うと言明してからどうも旗色が悪い。
ま、官邸とは関係無いところ発の悪い事も続いているとも言えるんだけれど、
確かに国際社会との共同歩調を考えれば、国政の発動と関係なくても軍事的オプションなるものを「持っているのに制限が多い(てか見方によると無い事になっている)」状況は日本単体だと何の問題もないのだけれども、国際関係から言えば「たとえ使えなくても法的な改正は必要なのだろう」そんな話がマトモにできるよになった背景は55体制的な自民独裁が終わって、この国に民主主義っぽい雰囲気がなんとなく流れ始めている事の方が大きい。
でもって、
少なくとも「全ての一戸建てに日の丸が揚げられる仕掛けを設置する事」なんて条文でも出来ない限り憲法改正と住まいには関係が無い。
もっぱら住まいと関係あるのは、まー話題になっている『年金制度』だ。
勝負師小泉のみごとな戦術の前に選挙で負けはしたけれども年金って言えば、これ前から民主党が重要視してきた政策(自治労の問題はともかく)。
で、これも殊更民主の政策が前衛的なのではない。むしろ官僚筋も自民党も「将来はそうなるね」と誰しもが思っているのが”年金の一元化”と”消費税増税により年金の100%をまかなう”ってところ。簡単に言うと消費税を福祉目的税化して、所得から年金を積み立てるを廃止して国民皆年金制度にしょうって話。
これって北欧的福祉国家が目標かというと、そういう意味では無い。
保守的な福祉の合理的運用(ぶっちゃけ民営化)としての緊縮財政における、国民皆年金になるからだ。
所謂フェールセーフ的な意味合いで、新保守的な競争原理の市場社会とワンセットにする事で社会的安定を維持したまま国の競争力を残そうって論議となる。
(年金の支払い総額と支給額の差額は「元本返し」で帳尻をあわせる事ができる)
この年金改革(今早急にはどうかと思うけれども10年後にはほぼその形になっている筈)は住まいと関係が深い。
ご存知の通り高齢化社会をむかえて、年金支給年次なんかを遅らせる話も増えるだろうから結果的には『高齢者の社会進出(定年制の廃止)』は、より増えてくる。
つまり、一時論議にあった「世帯辺りの有効面積の拡大」って話が、ファミリー向け物件のu数で論議してもナンセンスになるからだ。
同時に昨今の社会は晩婚化、
出生率は若干上昇始めたって数値もあるから、一概には言えない部分もあるのだけれども、論議を東京ってところで考えるなら『シングル向け物件のニーズが否が応でも高まる』事は間違い無い。
昔は一人暮らしって言えば「学生や若い人」であったのだし、分譲と言えばファミリー物件が主力だったけれども、30uランクで二人入居も可能なシングル向け物件というのがこれ構造的に不足している。
築浅の高級物件からはその供給も多いんだけれど、これだと潜在的ニーズとミスマッチになってしまうから再び日本特有の20u以下でのミニマルコンパクトな方向性の発案が起きるかもしれない。
同時に高齢にもなれば広いファミリー物件や一戸建ての管理は負担が大きいから、シングル向けマンションの需要も高くなると思う。
(基本的に”階段”になるアパートだと高齢者向けとしては難しいし、室内洗濯機置場実装率の高いマンションの方がやはり合理的じゃないか)
つまり分譲マンションのファミリー向け物件のリリースと、手頃なシングル向けマンションのニーズが高まる可能性が相当高いのじゃないか?
そうなるとここは、改めて30uの理想論は徐々に進むリノベに任せるとして、現実的には「シングルライフと20uの生活」を改めて考えてみる必要があるんじゃないかと思う。
さて、その安部政権は今年金問題で大幅に支持率を落として自民党的にも大問題になっている。次の政策課題が年金改革となるのは必至だろうし、ここまで話した将来像ってものが『安部政権だけに』より歩調を速めるかも知れない。年金関係の政策で民主の後手を踏めば政権維持すら怪しくなりかねないのだし、
国会の答弁なんかでも「言ってもいない事で批判するのはやめてください」とか「1年以内に5000万件の未統合年金記録を名寄せする(NTTデータと日立製作所に照合プログラムの開発を依頼)」とかなり軽く答えてしまう人なので、「前から年金は大事だって言っているじゃないですか、自民党で最も重用している基本政策です」って事にも早晩なるような気もする。
いよいよ「老若男女20uシングルライフ(30代シングルは30uを目指すでしょう)」的な将来像が現実味を帯びているんじゃないか、
次回はそんな「シングルライフと20uの生活」を考えてみよう。
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安部政権と住まい
2007年06月13日
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