連続三回にわたってお伝えしてきました札幌レポートなんですが、いかがだったでしょうか。私の観測だと、意外と「業者さんに関心が高かったのでは」とさえ思います。
東京都市部から考えると、まだまだ居住性や街並といった点で「これもいいかも」「あれはどうなの」な部分が沢山残っていて、確かに非常に高い可能性があると思います。しかし不動産業の場合都市部のようにある程度の収益を見込める価格の高さが無いと、規模によってしか採算を維持する方法は難しくなってしまう(単純に今札幌で賃貸の仲介を専業にする事は事実上不可能=会社を維持する事ができない)側面が一番大きいように思う。
そういう意味では業界そのものが成功報酬型の営業形態を維持していく限りこの問題はどこの地方にも起きてしまうことで、果たして健全な不動産流通を望む事が難しい地方において、不動産専業のプロの意見はとても反映し難い環境があるのは避けられない事実で、東京だからできる事をそのまんま地方に持ち込んでも何ら役に立たないのは間違い無い。
やはり考えなくちゃいけないのは、政治や行政の関与で(報酬から切り離されても仕事ができる機関だし)、不動産業者の関与もアドバイザーやコンサルタント的関わりを強めて「ノウハウにコストを払う」的な在り方を模索していかないと、北海道のもっとも強いメリットである広大な土地資源がそのまんま拡散してしまうだけに終わってしまう危険があるってとこでしょう。これ行政コストにも関わってくる事だし、
北米の低所得者向け住宅ローンの破綻がTVでニュースになる前に書いたプロローグの問題は、構造的にも酷似している側面もあって、
北海道単体で考える不動産のファンダメンタルには危ういところがあるのは事実です。
さて、話を戻して東京から事務所や住居の移転って事を考えるなら、
事務所の特定部分を切り離して札幌移転したり、在宅SOHOを主とする会社が新規雇用を札幌なので募集する事は確かにメリットがあると思います。
管理職の敵定期的な会議を出張の形で運用しても、今やエア・ドゥやスカイマークの登場で航空運賃は以前と比べ物にならないぐらい低コスト化していて、分割移転するだけでも財務体質が改善する事は間違い無いし、
人材と言う点でも、現在北海道の求人倍率はそれほどでもないので、有能な人材を比較的容易に採用する事も可能で(ITあたりだとここが一番コスト削減になる)、苫小牧へのトヨタ進出等天然ガス資源も持っている北海道は製造業の間では既に注目の地域となりつつある。
弱点は「集約度の低さ」というか「密度感の低さ」という側面で、そもそも千歳空港と札幌がどえらい距離になっている(この辺は随分JRの快速エアポートで改善したけれど)とこから始まっていて、札幌都市部の拡散傾向と会わせて、いざ進出する場合には立地や環境等相当クリティカルに考えないと「札幌は札幌だけど、ここも札幌?」な事になりかねない。
地方は公共交通が弱体なので、事業所と従業員の住宅との関係もこれ労務環境の一部だし、進出する時には十分考えたいところで(会社の住宅手当支給条件に半径何キロ以内とかの条件設定をするのもいいかも)、現在の地方では常識な距離感が結果的に仕事上の士気に関わってくる可能性があるから、残業時間の有無に関わり無くそういう有機性をどうやって担保するのかって部分もあるんだと思う。東京なんて狭い地域なのに「入谷の冗談じゃないよオメー」と「千駄ヶ谷的雰囲気あるよね」や「だってブクロだから」な「渋谷系で何が悪い」とか「南青山は高いよね」や「新宿鮫」と「ああ銀座」のような小地域でのマインドってかキャラクターが醸成されない(裏参道にしても「どこからどこまで」と感じるものが無い)。掴み難いが故にどこに進出して橋頭堡を築くのかって相当事業者の能力も問われると思う。
賃料的コストで考えると(正直言うと不動産流通機構への登録に積極的ではない業者が多く、サンプル調査するにも正直情報不足)東京都の比較で言うなら「住居なら”4万安い”」「事務所なら”30%ぐらい安い”」という感覚かな縲怐A
実際内見までしていないので、これも正確じゃないのだけれど従業員6人規模の一部門を独立させて移設するって考えても(半分は希望者の移住)月ベースで会社全体のコストは従業員ひとり分ぐらいは余裕で浮くんじゃないか?
或いは「ほとんど在宅SOHO」な就労環境の人が、会社に自分の札幌移住計画をかけあってみるってのも面白い。一番格安なチケットは片道1万ほどなので、月に2回会社に顔出しても”移動好きな人なら(笑”これコストに見合う。趣味がスキーとかなら尚更でしょう。
インターネットの時代、本来そういった弾力的事務所運用はより求められているように思うんだけれど、これがなかなか進まない。
やっぱ、そういった動きが”地方発としての形で発現してこない”な側面がある。
今回の北海道遠征で見た地元メディアの経済ニュースを見て驚いたのは、「北海道の食材が中国でバカ売れ」みたいな話で、「おいおい牛乳捨ててる場合かよ」みたいな。
補助金行政の弊害っていうのか、野心的なビジネスマン的エロ根性って言うのでしょうかねぇ。攻撃的な冒険主義ってやはり弱い、
私の個人的イメージに過ぎない部分もあるんですが、インターネットの回線は来ているんだけれど”あんまり使わない”→その理由は→「関係ないんだわ」みたいな(潜在的にインターネットのヘビーユーザーは東京の人とまでは言わないが、妙に淡白)な印象もあります。
秋葉原的な中古PC店も若干郊外の市街地に一店あるのみで(あるだけでもたいしたもんだと思うけれど)、ちょいここも弱いっすね。
ここ精神分析の本業(kagewari)の立場からみると、「とんでもない可能性を秘めている」とも言えるんですよね。現在のパフォーマンスは道内向きの(内向的な)ものでしかないんだと。ちらちらと札幌ファッションなるものに垣間見える破天荒な自由さはまだまだ潜在化していてまだ奥ゆかしいままでギラギラとは発現していない。
ここには実例があって『北海道日本ハムの定着』と、北海道の雪がオーストラリアで有名になってオーストラリアの方が大挙ニセコ近隣に別荘地を建てだして、札幌の街でも「やたらと白人多いな」な現象もあるワケで(オーストラリアへの直行便もあるらしい)、これまで観光客としては考えられなかった韓国・中国からの観光客も増えてきて、何か”きっかけ”があれば動き出す事はこれ実証されているんですね。
又北海道の冬は厳しいような風評もあるんですが、北海道の冬は意外と暖かいんです。これも表現がとても難しいんだけれども、太陽が近いというか空の透明度の関係なのか昼間の日照を感じる体感温度(遠赤外線の事かもしれない)は表示の温度より暖かで(なので吹雪の時はやたらと寒い)、建築に関しても北海道電力が技術的にやたらと力入れている事もあって、かなり複数の種類の暖房を選択できて効率よく室内を暖かに過ごすノウハウには長けている。札幌市で言えば「そのための地下街」でもあるんですしね、
最近は地球温暖化の影響で夏にも暑い日が増えて蝦夷梅雨と呼ばれる現象もあるんですが、それでも夏は涼しいわけで(私の子供時代はエアコンなんてものは一般的じゃなかったし、扇風機さえマストって事でも無かった)年間トータルの光熱費で考えれば高コストって事も無い。
ゴキブリもいませんしね、
何でしょう、北海道をまるで知らずにコスト意識だけで事務所なんかを北海道に移転するのは単なる外様でしかないので成功しないと思いますが、その特性を”買って”きちんとビジネス上の野心をもって進出を検討するならこれGOでしょうね。
そこで再び不動産業者の話に戻りますが、
とにかく東京都におけるような不動産流通は正直望めない(信用の置ける一社に問い合わせして東京全ての物件を調査するような形には厳しい部分がある)。これも事実です、
ですから、複数の会社に情報収集打診する形が必要になると思うんですが、賃料単価が安いですから(経費的な限界点が低い)、十分に現地調査をしてから「相当地域を絞り込んだ上で初めて問い合わせする」的1発勝負的に切り込むか、調査母数は少なくてもきちんと公正に流通している部屋に限定すると腹をくくる尚の方針を事前に固める必要あると思います。
ただ現在飽和状態にある東京に比べて、今札幌がフロンティアであることは間違い無いでしょう(地元の開発業者的には今の状態で飽和らしいんだけれど、、)。
重要なポイントは、開発されていない潜在能力を踏まえてそのポテンシャルを見ていくぐらいでちょうどいいってところだと思います。
『札幌移住計画』かなり面白いテーマだと思いますよ(笑
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札幌移住計画は”是か非か”「まとめ」
2007年08月24日
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