先ず更新時のコストが地域によって随分と違うので、一律には語れない部分もあるんだけれど、一般に更新コストの高い地域(関西等)は入居時の保証金も高かったりするので、構造的には東京ベースで話を進めても大きくズレる話にはならないと思う。
礼金0の物件も無いじゃないんだけれども、現在東京における礼金は『長期契約時の契約金』の意味合いで既に家主の収益計算のベースになっているので、礼金0方式になれば賃料が高くなるのは言うまでもない(そういう二本立ての契約が可能な大手管理会社もある)。
携帯なんかの契約のコースのように考えてもらえば一番簡単。
携帯やモバイル通信でも長期契約の保証(必ず解約時違約金の規定がある)があって、形は部屋で考えたら住居契約時の敷金償却に近いけれど、ほぼ同じような規定となる。
(携帯の場合長期契約年月満額となれば解約時違約金は支払う必要の無いケースが中心となるけれど、新規契約時に長期契約を保証する形式を持っているのは事実)
長期契約でなければ、礼金に相当する部分は無くてもいいワケで(契約毎の収益計算ではなくホテル等のように空室期間も織り込んだ年間の回転率から”レンタル料”を起算すればいいので)=『マンスリー契約』となり、ご存知のようにマンスリーは一般賃貸に比べて格段に料金が高い。
管理上のコスト計算としては、礼金額を=「長期割引率」と見るので、簡単に言えば「礼金0の部屋と礼金2の部屋がある場合、礼金2の部屋は実質賃料が5%縲怩P0%高い部屋と考えるので、礼金2の部屋で入居する方が”得られる割引率は高い”ことになる」、
ここは、各部屋家主が違っていたりするから(同じ家主さんの部屋ならこの傾向ははっきりするんだけれど)、収益のベースが違うので「実際は内見して確認しないとわからない部分もある」。
とはいえ経験上「礼金2はNGです」という問い合わせは=「部屋の内容問わず」なら探せない事も無いけれど内容のいい部屋のほとんどを捨てる事には違いがない。
ここで延々と何故「礼金」の話になっているのか?
ここが「更新するべきか」の判断の重要なポイントだからです。
現在東京ルールがあるように、敷金返却に関してはかなり厳密な規定があるから長期契約時のコストの中心はやはり「礼金」となる。
敷金の返却は解約・退出後の立会い等の点検後目安として1ヶ月なので若干タイムラグあるけれども「戻ってくる」事には違いがない。
契約上解約時の敷金償却のあるもの(ペットの規定や規約として敷金が償却されるもの)はその部分も新規契約コストと考えればいい。
そこで、更新費はほとんど1ヶ月になるので、先ず基本的には『長期契約割引率の高い部屋(礼金2や敷金償却のあるもの)』は更新すれば更新するほど新規契約コストが入居期間の長さに応じて減算されているのと同じなので(ゼロにはならないけれども→携帯の契約における期間満了時の解約料金が減算されるのと同じ)
「トータルで考えると、更新すれば更新するほど微妙に家賃は下がりつづける」と見てもいい。当然更新した方が得、
しかも一般賃貸契約の場合入居者は「この長期契約の更新に関して法的に強く保護されている」状況で(家主にこれを拒む権利がない→定期借家契約方式が始まった理由)、
■更新は”借主の権利”だから、
言い換えれば”特権”にも近い。
住居で契約しているのだから、頻繁に転勤がある(これは法人がこのコストを考えなくちゃいけない)等の理由以外で引越しがある事を法律の方も想定していないのであって、
「短期解約で何度も部屋探しが続く」こと自体異例な状況だと言える。
そこを踏まえての「礼金2」なワケだ。
つまり家主さんは「更新を前提に(長期割引率適応)家賃を決めている」。
(引越しがある意味前提となる”大学生向けアパート”が”居住性より安い部屋で”をコンセプトに格安なのはその辺の事情を家主さんも踏まえているから→短期解約を想定される部屋は管理上大規模リフォームの投資を行うのは得策じゃない)
なものだから、短期解約を続ける人からの不満として「礼金はおかしい」と言われても、そもそも「住居契約で短期解約が続く方が異例」なのだから、政治におけるノイジーマイノリティーと論議は同じで、そこで安易な改革案を通せばサイレントマジョリティーにとって不利益な法案に修正されるに過ぎない。
ましてや短期解約事由が”所得の多さを背景にした贅沢”で、その延長で礼金廃止等になれば、所得ギリギリの賃料で更新を前提に部屋探しをしている人達まで”一律全室賃上げ”等の状況に不当に巻き込まれてしまう事になる。
てことは?
『短期解約も止む無し』この状況をいかに避けるのか。
逆に更新せず解約した方がベターな状況って何か?
そもそも「更新できる部屋探し」って何か?
こういう方向から”更新と解約”って世界を見ていくのがスジでしょう。
<つづく>
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「更新するべきか」(1)
2008年04月01日
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