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”市場”が求めるもの

2008年05月16日

誤解もあると思うんですが、経済学的に考えると「市場は公正で中立」となります。
簡単に言えば第三者であって”市場のプレーヤー”に思惑があったとしても、市場そのものは利益的な思惑は無い。
市場が求めるのは『最適化原則の機能(ゲームの法則)』となるので、需給バランスを背景に取引価格が適正化されているかってところがポイントになる。

なんだけれど、事不動産に至っては(故に”不動産”でもある)本来市場原則がどこまで介在するべきかってところから論議があってもいい話なので(公共財と考える部分も大きい)、ここでは「いったい不動産の市場ってどのように存在しているのか」なところから見ていく方がいいでしょう。
最もここで重要な存在は『国土交通省の不動産流通DATAベース(業者には仲介会社への流通情報の公開とともに、その登録義務がある)』だ。
各業者が民間DATAベースや所属団体DATAベース等と合わせてどんな風に利用しているのかと言えば、

新たに賃貸の空室が出る時や不動産売却の依頼がある時に、国土交通省DATAベース(REINS)からサンプルDATAを収集して”同様タイプの居室の流通動向を調べ”これを家主や売主に答申する。この情報をベースにして新規募集賃料や売買価格(REINSだと交渉後の実成約価格も調査できる)を決める。賃貸の場合には家主さんの希望に応じて様々なパターンがあるので「答申された市場賃料そのままで空室募集が行われる事は無い(大枠は市場の範囲ですよっ)」
ここ何かと言いますと、
長い経験のある地域の大家さんの場合「この部屋は幾らぐらいで運用してきた部屋だから」とか「賃料は安く審査は厳しく(賃貸契約はほとんど信用取引なので)」とか「部屋の特性に応じて・リフォーム内容に応じて」等様々なパラメーターから賃料が決定してくる。
実際不動産業者のサンプルDATAは内見して確認しているものじゃないので、なんだかんだいって『物件構造』『平米単価』と『築年数』が判断基準になるため、答申される市場動向そのものが一面に過ぎないのも事実。
(なので”築年数が古いがリフォーム内容がいい部屋”を選ぶと見違えるぐらい広い部屋が借りられたりする)
ここを考えてみると、不動産は各室「一点もの」の市場になるので”類似する物件”と価格を公正するため初っ端統計的にも”見込み”によって”ある程度の”範囲で市場性が成立している事になるのでその特性を見極めると有利に部屋探しを展開する事ができる。
まーここは就職の時の会社選びと同じですよ(笑
資本金や売上高、創業年数に従業員数だけで会社を選ぶ人はいない。
入居申込書は”限りなく履歴書に近い”ものなので(個人事業主が企業と取り交わす雇用契約に似ている)、自分の個人情報の管理って意味でも契約するべき対象(家主さんの動向も大事だけれども専門的に言えば”媒介契約の内容”と”管理会社の内容”の方が重要)も誰でもいいって事にはならない。
つまりそんなビヘイビアも賃料に含まれているのだから、時折地元だけに流通している非公開物件(採算性から仲介の難しい5万円以下の部屋は例外だけれど、概ね格安って事も無いし管理内容も微妙だし非公開とする姿勢自体に法令遵守的なリスクがある)を”掘り出し物”的に捉えるのは大きな間違い。
市場の大事な機能として「公開されている事によって公正さも担保される」部分は重視すべきです(管理に問題のある会社ほど情報非公開事例が多い)。できれば部屋の調査も仲介中心に依頼したいところで(仲介会社が管理会社の内容を審査する事になるので、管理会社も法令遵守を意識する)、業態的には「小売(仲介)」と「卸し(管理会社)」がきちっと別れる事の無い部分は確かに将来的には整理された方がユーザーにもわかりやすいと思う。

さて、話は戻るけれど「本当の部屋探しは内見から」なんだけれど、昨今の供給過剰状態を背景に「ほとんどのケースで選択肢は複数ある」そして、ユーザーは空室調査の時に「希望条件」を伝えるから、ある意味不動産業者が空室情報を調査する段階が『最も市場性が機能している』と考えていい。

て、ことは?

部屋探しの”賭け”ってゲームの法則があるとしたら、まずまずこの初動の「候補の絞込み(ここ家主さんへの市場動向の答申と全く同じです)」を”どんな感じに定義するのか”大事になります。
ここからが心理学なんですよー
市場の利用法として、家主さんは
「今このお部屋なら賃料いくらぐらいかしら?」
という依頼で調査GOとなります。
 ↓
しかし空室調査の場合には
「今○○があって○○で、そして○階の○平米で○○・・・で○万円の部屋はありますか?」
という依頼になる、

違いわかります?
前者は”意図している物件の選定をプロに委任している”後者は”意図している物件の(統計調査で言えば観測点)選定を自分がしている”。
ですから後者の場合それが無ければ「無いです」で終わりです(笑
しかも”物凄い定点調査だな”みたいな、
プロの仲介業者なら「どんなキャラで?」みたいに「イメージそのものは具体的に・概要に関しては抽象的に」確認したりするんですが、その過程が抜けちゃうと”市場が担保する実勢”そのものが部屋探しに反映されない。
言い換えると「100の母数から適合する候補を紹介してもらえば”部屋選び”」でしょうけれど、「4の母数から”それは○万円か”と指名するのは”選んでいるというより期待する世界をプレゼンしている”」に近くなってしまいます。
(後者の場合「最近いい人いないねぇ」と愚痴をこぼす人事部の世界と同じで、「いないんじゃなくてネグレクトしているのは人事の方じゃ→4大卒で容姿端麗都心在住の現在1部上場会社に勤務で清潔感があり、頭の回転の速い若い人って、、いきなり間口が狭いような」な事にもなりかねない)

市場の立場で考えてみてください(笑
需要と供給を仮にもマクロで指標として機能する市場にとっても「えっ、そんな狭い範囲の需要?」となってしまって「うーん、そのサンプルは市場に反映させるべき内容なんだろうか」になっちゃいます。

ここを逆転させる重要な鍵は「お部屋は人と同じで見て(会って)みなけりゃわからない一点もの」であるその”個性”ですよ。
こんな風に賃貸であれば、かなり『部屋探し』なる選択性を担保できるんですけれど、売買の場合「売る方も買う方にも”その選択性は非常に狭い”」のです、ここ何故なのかって話は随分長い話になってしまうので、改めていつか書きます。


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posted by kagewari/iwahara at 16:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 部屋探しの心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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