そもそも心理学的に部屋探しってものがどのような”行為”となっているのでしょうか、
何の話か「?」な人もいるかしらと思うんですが、狙いはですね「実際どんな行為なのかイメージと実情にズレがあるのじゃないか」と思うことが多々あるので、様々な角度からここを考えてみたいって話です。
※『部屋探し』なるものの”背景”はどのようなものだろうか、
そんな頻繁に引越しする人もいなければ、そんな頻繁に一戸建てを建築する人もいない。二桁乗ったらかなりのベテランでしょう、
これに比べて仲介業者(特にウチは異例なんですが)は、一年に数え切れないほどの部屋を見て、実際に「多数の組み合わせの引越し事例」に遭遇する(って仕事なんだけれど)。
ここの数値的な差は「100対1とかおそらく1000対1」ほど極端な格差があるので、それを業務としている立場から見ればここ余計に「各個人にとっての部屋探し」なる”行為”が”行為”として特別なものであることがわかります。
近代以前で考えれば(ここは又家幻想みたいな話になるけれど)”苗字が変わる”とか”分家する”とか”独立する”が=引越しでもあった。
それほど頻度や経験って部分からもそうそう頻繁なものじゃないので、
部屋探しのコンセプトから実際の内見選択まで全部風評や広告なんかの勢いで決めるって、こういう事は、「まったく未経験なまま自宅の設計図を自分で書いた」ぐらいの現実とのズレがある。
それこそリフォームして即入居の概念乏しい欧米の場合(ここは土足文化的ワイルドさがそこを補完している)なら、「雨風しのげるんだから立派な住居」をベースに考えれば事足りる(それこそ即入居の賃貸がホテルと言う名の下宿だったりする)、家具や改装で自分の部屋を造ればいいとも言える。
日本の場合法律上も『即入居の部屋である(住居として使用可能な状態でなければ契約できない)』となるので、ほとんどの選択肢には一定のオクリティーが保たれているので、その選択は、内容としての比重は賃料等の賃貸条件にあって、自分のなる個別性は部屋のキャラクターになる。
そんな意味で日本の部屋探しを考えると、
「部屋探しは”行為”として人探しと同じだ」と言える部分が大きい。
何をする人を探しているのかと言えば、事業物件なら仕事のパートナーかも知れないし、住居でいれば伴侶であったり、シングルであれば自己の肖像であったりする(映画におけるシナリオで考えてもらばわかる、登場人物の住居の設定は配役のアイデェンティティーに大きく関係する)。
つまり
「見栄えがよくて、若くて、背が高くて、資格を持っていて高収入、大手勤務で結婚希望者」
「タイル張りで、築浅、2階以上、オートロックで高級な、○○建築の分譲マンション」
みたいなですね(このたとえは極論ですが必ずしも女性に限定された話じゃないですよ縲怐j、
注目なのは「見栄えがよくて、若くて・・・」の段ですよ、
これ事実上「冗談」ですよね、「なんてね」みたいな。
何故こういう候補がツラーっと並んでしまってそれが冗談みたいな話になるのかっていうと、心理学的にその理由は実に簡単なものなんです。
一点もの並に個性化が激しく常識程度の知識ではおっつかない対象物を、漠然と考える時人は共同幻想的な意味での「ステレオタイプな”なんとなくいいもの”」しか思いつかないからです。(実は既にこの時主語の”私”は飛んじゃっているのです)
戦略も戦術もなにもありません、同時に”自分の”なる個別性も飛んでます。
重要なポイントは”なんとなくいいもの”をツラーっと並べるとどうしても巷間伝わる有力な情報が並びやすいんですね、ここに広告性のある傾斜のかかったイメージも当然入ってきてしまう。
この状況で自立性の高いコンセプトが欠けると「自分の場合」なる”ちょっと待てよ”が入らないために、上記のステレオタイプな発想がそのまま”雛形化”してしまいます。
これ構造的な『完全なる錯覚』です。
それがキャッチコピーでお馴染みの『いい部屋』なる抽象概念の正体ですよ、
こうなっちゃうと「誰の部屋探しなのかわからなくなる」んです。
「ステレオタイプな人のステレオタイプな部屋探し」誰なんだろうみたいな(笑
実はこの方法で人探しをしているのは「大企業の人事ぐらい」の話で、人材の個別性は大量採用の中、その数の多さに織りこまれている(つまり特定人材を探しているというよりは”含まれているだろう”的期待値が採用枠に成立していると見ていい)。
つまり、個人の部屋探しの方法論では無くなっているワケで、
ここの初動でコケると、誰の何を探しているのかそもそも不明瞭になってしまいますから、構造的に「自分の部屋探し」は失敗している事になります。
これはどうなの?なる部分を引き続き考えてみよう、
<つづく>
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部屋探しを”行為”として心理学してみる(1)
2008年07月15日
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