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賃貸における諸問題(2)

2008年08月15日

なかなか難しいテーマなので、前回のレポートは途中までとしていたところなんですが、今回はその続きです。
前回レポート:賃貸における諸問題(1)

このテーマを考える上で注目のニュースがありました。
こちらですっ
 ↓
25平方メートル未満「ノー」都内で広がる「ワンルームマンション規制」
(かなり長文なので重要な部分のみ引用します)
ワンルームマンションの建築を規制する区の条例が、都内で相次いで施行されるなど規制が広がっている。面積が25平方メートル未満の部屋を持つマンションが建てにくくなるというものだ。面積を増やせば家賃が高くなることも予想され、学生や高齢者が住みにくくなるという批判もある。しかし、こうした条例が制定される背景には、単身者のゴミ出しのマナーの悪さや自転車の路上駐輪が問題化していることがある。
この条例を制定した理由のひとつとして「紛争の一因となっている管理面の強化」を挙げている。ワンルームマンションなどでは管理が不十分な場合も多く、ワンルームマンション建設の際に近隣住民が猛反発するケースも多いという。

現在東京23区では、文京区に加え、中央区、渋谷区、目黒区、江東区、豊島区、新宿区など10区で同様の条例が制定・施行されている。板橋区でもワンルームマンションの部屋面積を25平方メートル以上とする条例の制定について検討が始まっており、今後も「ワンルームマンション規制」が広まることになりそうだ。

ただ、こうした「マナーの悪さ」を近隣住民の要望に応えて一掃するというほかに、「単身者だけでなく、ファミリーで住んで地域が活性化できればという狙いもある。近隣住民に不安を生じさせる単身者を減らし、地域の活性化につながる世帯持ちに住んでほしい。そんな思惑がある。
この条例の制定をめぐっては、区には「大学生には住むなということか」といった反対意見も寄せられている。学生寮や社員寮、介護・老人施設などでは、この条例の適用外としていると区側は説明しているが、学生のすべてが学生寮に、会社員の全てが社員寮に住める訳もなく、「色々なご指摘がある」と区側は賛否両論が寄せられることに苦慮しているようだ。
地域の不動産業にも大きな影響を与えることになりそうだが、ある不動産業界関係者は「近隣住民のワンルームマンション建設反対の意見が根強いということもあり、何とも言いがたい」と言葉を濁すだけだった。
(J-CASTニュース 2008/08/05)


同様の反対運動の事例等何回かretourのブログ等でも書いた事あるんですが、私見としては「全く問題無い」と考えます。
理由は現在でも東京の不動産は供給過剰であって、20u以下の1Rマンションも十分な戸数を確保しているし同規制は”マンション”に対するもので、格安の賃貸住居においてメインであり住環境内容も優れている木造アパートに対する規制ではない(規制を意図しているのは”投資向け”的な建てっ放しのマンション開発に対するもの)ので、利用者に対して特段の不都合があるとは考え難いためです。
又ファミリー向けの部屋を一定数義務つけるのは、現在でも流れとして健全と思われる「分譲を控えて賃貸を選択」する階層にとって、一定以上のグレードの賃貸住居の供給量が増える事になり(相場環境として賃料も下がる)、管理会社としても”長期更新契約”の入居を促進する事になる(短期的な目先利益重視の営業会社の場合”内見後申し込みの追い込み”等で結果として短期解約事例が増えて、媒介業者は困らなくてもオーナーの収益が悪化するケースも多い)。
何度か提案している部分ですが、短期契約的(1年契約タイプ)なシングルに特化したミニマルコンパクト型ホテル系賃貸等のジャンルはもっと促進されてもいいし(常駐管理になるので近隣住民と紛争となる事が無い)、現在の賃貸契約は若干固定的に過ぎる。

又これ以上の1R(敷地に対して入居戸数を限りなく多く設計する方が設計上の収益計算は高い)の建築は、その計画意図からして無理があるしその収益性も机上の計算に過ぎない部分が大きい。
賃貸契約の収益計算で最も重要なのは「空室率の管理」になるので、本筋からしても長期安定賃貸契約者はより安い賃料でもいいのだし(超長期定期借家”居住権”の発想)、そこから考えれば25u以上で新築される部屋の賃料が「高止まり」する筈も無い(特に分譲キラーは同時に相場キラーである場合も多い)。
不動産の供給過剰の現状から考えれば、一部屋あたりのu数の増加として居住性も高くなりこれは入居者利益になる。

都市計画的に地方自治体は積極的に賃貸住居の建築計画等に当事者として参加すべきで、「部屋に暮す」だけでなく「街に暮す」という本道から考えてもそれは賃貸人にとっても利益である。
防犯性という面で考えても、『築浅オートロックのシングル専用マンション(特に女性向き)』は狙われやすく管理人が分譲マンション並の常駐形態等が無い限り地域の防犯性全体を悪化させる可能性もある。

実際条令の運用は今後を見て検証していかなくてはいけないところだけれど、一石を投じる効果は大きいでしょう。
その辺各論を次回詰めて考えてみたい。

<つづく>

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posted by kagewari/iwahara at 11:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・特集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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