ここ二回の連載と、先日のレポート
http://kagewari.cside.com/blog/2008/11/post-3bf7.html
そして関連するニュースとしては
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大手不動産4社が減益 オフィス好調、マンション低迷
大手不動産5社の08年9月中間連結決算が7日、出そろった。オフィス賃貸事業は好調に推移したが、マンション分譲事業が低調となり、4社が減益だった。金融危機の影響を受けた不動産市況の低迷は、大手の業績にも影を落としている。
(中略)
一方、マンション分譲事業にはかげりがでている。三菱地所は今期から連結したマンション分譲の藤和不動産が純損失に転落し、マンション部門の営業利益が前年同期から半減した。東急不動産はマンション販売の利益が当初ほど見込めないとして、09年3月期通期で100億円の評価損を計上する。三井不動産、野村不動産ホールディングス、住友不動産の3社も「販売に時間がかかるようになった」として、年間の売り上げ戸数を3縲怩P3%下方修正した。
「1年前と比べ経営環境は大きく変化した。需要はあるものの、景気の悪化で消費者心理が悪化している」(折原隆夫・野村不動産ホールディングス取締役)という。
(asahi.com 2008/11/07)
この辺合わせてマクロ経済で考えてみると、
「果たして分譲マンションの存在意義は現代社会の何処にあるのか」なる根源的な部分になると思うんですよ。
一般に「投資向けマンション」の別名で呼ばれたりする1Rマンションは、その名のとおり住むと言うより資産保全向けに昭和の時代に編み出されたもので、いわば典型的な”値上がり続けると儲かっちゃう”みたいなバブルを経験した現代日本じゃ「ご冗談を」なのんびりした時代に企画されたもので、それに対して”現代社会の分譲マンション”は=『ファミリータイプ』となります(女性専用としてこの辺の心理的部分を需要する1L系も例外に含まれますが、、)。
で、現代社会は?「少子化・高齢化・晩婚化・非婚化」社会です。
社会心理学的要素も加えると「高寿命化と代替し実は人口は減らずに労働力人口も統計予測どおりには減らない時代(リタイアする年齢も比例して伸びるため)」となります、
つまり「人生における過半数の年次はシングルであっても不自然とは言えない」のです。
しかも高齢時に再婚や高晩婚が次世代に流行したとしても、この世代の婚姻は遺産相続的にも社会的にも”事実婚”の方が自然と推定されるので、この世代の同居を考えても部屋のコンセプトは”シングル向け”となる。
至近な高齢化社会においては、そのまま独身高齢者世帯が中核となるでしょうし、
結婚し家族企画性のある個人の人生を考えても、3DK(子供部屋)が必要な年次は15年間程度(=住宅ローンの年次逆算)に過ぎません。将来的に90歳を突破しかねない日本の寿命から考えて人生の17%(20年後とかには寿命100歳達成なんてのがニュースになっているかもで、その場合には15%ですよ)。
この17%のために成人年齢の生涯をかけてファミリータイプの分譲マンションを購入する世界にレーゾンテートルが維持可能だろうかって話しです。
高齢化夫婦が60u超のマンションを必要する可能性を考えても「子供と限定されずに友人や血縁等の来訪者が多い場合」となるので間取はサロン系色の強い”LDKの広い部屋”の方が合理的になります。
さて分譲マンションで3LDK・4LDKが格安で存在するとはちょっと考え難いですよね(理想的な住宅ローン支払い期間15年から逆算しても)→これが可能なのは東京ではなく”ローカル持ち家の間取”ですよ。
となると、リーズナブルなのは1LDK・2LDKになります「既に保守的家族企画性のある世帯のニーズ3DKから離れていませんか?」この間取はひょっとするとDINKS系の間取になります。
しかし、可処分所得も多いDINKSの場合生活様式もリベラルになるので「それだったら賃貸の方がクレバーだよね」となります(引越しの自由度を残す事がDINKSのライフスタイルには評価がグッと高いからです)。
となるとですよ、東京における分譲マンションのレーゾンテートルを考えた場合「あくまでも60u以上の3LDK以上の高級物件(必ずしも新築を意味しない)」と、「賃貸並に”手軽”に買える中古の2DK(容易に1Lにリノベ可能)」そして「圧倒的に賃貸」であり、高齢化社会を考える時の『高齢シングル時代向けの1R』じゃないかと思うんですよ。
この最後のジャンル『高齢シングル時代向けの1R』こここそ社会的に注目なんじゃないでしょうか?
東京の分譲相場的には「ミニマルコンパクト型3点ユニット1R」って売買価格余裕で1000万以下とかであるんですよ。モノによってはド都心でも探せなくない。
どうして、この「ミニマルコンパクト型3点ユニット1R」にニーズがあるのかって、本気で高齢者になってみると入浴するなら福祉行政なんかが手配する銭湯等の入浴サービス(将来的に考えられる高齢者向けの地域施設ってまず間違い無く浴場併設と想定)の方がよっぽど快感でしょうし、毎日の生活だけなら効率的で浴室の温度差も少ない「コンパクト1Rの3点ユニット」の方が合理的だと思うんです。
そして、そもそも何もしなくてもほとんどが”バリアフリー”で室内容積もコンパクトなので”光熱費も安い”上、オール電化っぽい(キッチン電気→これはIH化で改装)部屋も元々多く、いろんな条件が高齢者向けなんですよ。
将来的ニーズとして「管理人常駐」も確立すればまー完璧でしょう。
そして何より圧倒的に有利なのは「価格が安い」、
シミュレーションで考えてみても、引退間じかのご夫婦が(既に100%二人入居)気ままに賃貸住居に暮しながら
「将来のために1Rを2部屋買おうか、その部屋を賃貸で貸してさもしどっちかが先にお迎えきたら残った一部屋をさ(目減りが予測される)年金の足しにそのまま賃貸にしてさ、どちらかの部屋は6ヶ月予告というか、まー6ヶ月の立退き支払って解約してもらってひとり暮らしにちょうどいいって残った貯金で好きなようにリフォームして暮すってどうだい?」
こういう選択ってちょっとよかないでしょうか?
友人や子供や親族がきたら?”街”があるじゃないですか、そしてそんな時代には福祉行政の高齢者向け施設にゲストハウス機能もあるかもしれない。
それだけでなく、お子さんがいた場合相続税とかの心配もあまりしなくてもいいし、再びリフォームして賃貸として運用してもいいし、”お幾らでも構いませんよ”と格安に売却してもいい→すると次の高齢のご夫婦も格安で1Rを購入できる。
思うんですよ縲・br style="clear:both;" />ここのとこの売れ残りマンションは、どうか大手法人が損切り的に購入してしまって分譲賃貸として貸す事で、賃貸住居の選択師や自由度が高まる方が社会的にも”高い循環性を保つ”と思いませんか?
10月の首都圏マンション発売、26%減 14カ月連続前年割れ
不動産経済研究所(東京・新宿)がまとめた10月のマンション市場動向によると、首都圏の発売戸数は前年同月比26.0%減の4240戸で14カ月連続で前年実績を割り込んだ。近畿圏も同18.3%減の2164戸。マンション価格の上昇が続いたため、消費者の購買意欲が減退。2008年の首都圏の発売戸数は93年以来15年ぶりに4万5000戸の大台を割り込む公算が高くなった。
首都圏の発売戸数が減少したのは、「大型の住宅減税が施行されるまで様子見をするデベロッパーが多かった」(企画調査部)ことが主な理由とみられ、各社が発売戸数を抑制した。売れ行きも依然鈍く、発売に占める契約戸数の比率である契約率は首都圏が62.5%、近畿圏も62.0%といずれも好不調の目安である70%を割り込んだ。
(NIKKEI NET 2008/11/13)
私は不動産経済の循環構造が転換期なのだと思います。
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不動産経済の循環構造が転換期なのでしょう
2008年11月17日
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