今回は全く未経験な人が店舗を借りる場合の話なので、非常にベーシックなところから話を進めてみたいと思います。
事業物件の場合「事務所→物販店舗→飲食可店舗」この順で賃料も上昇します。特に商店街内の1階店舗なんかになると一般住居に比べて想像できないぐらい賃料が高くなる事もありますが、理由は簡単です。
事務所と違い店舗はその集客性が=事業に直結しますから(商店街内の1階店舗になれば出店しているだけで広告費も織り込み済みと同等)、そこは市場原理で「その値段なら借りたい人は山ほどいる」なことになるわけで、当然賃料は高くなります。
特にいくつも店舗経営をしていて、事業慣れしている人ほど「駅近の1階店舗」を希望しますが、これは特定の事業性を意味しているのです。
■ここかなり重要なので、少々詳しく説明します
どういうことかって言いますと、
複数の店舗で多角化みたいな事業を成功させている事業者は、既に業態として一定の収益性を保持している(収益計算も容易)のと、同時に系列店舗は”同様のスタンス”で営業されるので、一見さん含む路面からの集客が”必要”で(極端に趣味性が高い店舗と正反対)「収益計算の範囲に入る計算できる店舗を求めている」事になります。
確かにこの店舗の探し方がメジャーには違いないのですが、これは上記のような営業姿勢を持っているビジネスモデルに一致する場合の話しで、未経験の方がある程度の趣味性の高さを出店動機に開業するのと『方向そのものが違っている』事になるので、店舗の探し方の定番であってもそれを模倣しても”ほとんど失敗”します。
ここの理由も簡単です、
人通りの確保された1階路面店は前段説明のように、賃料相場も高いので貸主から見たリスクも高い賃貸物件になります(なので不動産投資的には安定利回りなのが収益性は低くても住居になる)、そして店舗はその店自体が借主の収益(支払い能力)に直結しますから、保障金額も大きくなります。
簡単に言えば「路面からの集客性が高い店舗ほど保証金額も大きくなる」ぐらいに考えた方が簡単。そしてベースとなる賃料自体も高いのですから、契約金額はかなり莫大な資金を必要とします、有利な点は相場が高い分フロア面積を大きくできない分改装費用が安く済むぐらいの話です。
↓
はい、なんて事無いように思える最後の一行にも意味があるんです。
事業性高い店舗は「フロア面積を大きくできない分改装費用が安く済むぐらいの話」、趣味性から考えたら『どんな改装をするか』もその動機の一部なんですから、その部分が後退しては論理矛盾になりますよね、
つまり個人が新規に出店する場合、路面からの集客を第一に考えるのじゃなく改装可能なフロア面積の確保と同時に、その改装費用を確保するために契約金総額を抑えないと、狙ったタイプのコンセプト(店舗内容やキャラクターに応じた堅い集客)から離れる事になります。
ですから構造的に「手馴れた商店主の人はちょっと手を出さない物件」が”本命候補”になるんです。
※誤解してはいけないのは、手馴れた商店主の人だって、個人の趣味性重視で盛業中の現行複数店舗を信用できる人に任せる余裕があれば「そういう店舗を借りる」のであって、そっちの方が面白い事は百も承知なんですよ。しかし現行盛業中の業態を考えれば”そんな手を掛けている余裕は無い”ワケです。→しかし今から初めて店舗を借りようと考えている人には時間は十分にある。
ここの誤解に気がついてもらうのはほんとに大変で、
確かに初めて店舗を借りようってんですから、心理的にも不安になります。ぱっと見集客性の高い路面店舗を中心に探してしまう気持ちもわかりますが、通常このパターンだと資金不足で先ず借りられる候補が見つからない筈です。
繰り返しになりますが、賃料の高い店舗でも収益計算が立つのは既に他店舗などの経験が無い事には難しい話になりますから→未経験からビジネスモデル自体にも不安がある場合”賃料の高さ”が不安要因になって希望の立地でも条件に腰が引けるので「やっぱり借りられない」事になる。
肝心要の部分を思い出して欲しいんです、
街を散歩してもらえればすぐわかる事ですが「えっこんなところにお店あるんだ」みたいな場所でも長年お店が続いているとこって山ほどあるじゃないですか、
しかも趣味性の高い店ほど”ちょっとわかり難いところ”にあったりします。
つまり「誰にでもわかりやすい集客性のある場所じゃないと出店できない」なら最初から店舗を借りて事業なんか起こそうと思わない事です。
それって”自分にとって売りの趣味性も内容にも自信が無い”のと同じなんですから、
(資本金に十分余裕があって綿密な計算があれば別の話ですが、それほど恵まれた状況はそうそう多く無いでしょう)
<つづく>
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「店舗を借りるには」(1)
2009年02月20日
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