福祉政策を経済政策的に「潜在需要」と評価した場合、
社会資本の再配分をそれこそ経済原則の足を引っ張らないように政策化するとすれば、各個人の自立性をどれだけ政治が担保できるのかにかかってきます。
新保守主義がドジってしまったのは、市場原理を金融工学的に歪めてしまったためで(投資資金が流動性のファンダメンタルを越えて拡大しちゃう等)、随分批判されていますが発想的には無い話じゃないのです。
わかりやすい話をすると
「将来に不安があるので貯金した(潜在需要が抑圧された)」
ここ福祉政策的に将来に不安が無い場合「本来の需要が拡大する」って事で、この需要の発現が抵抗無く機能しないと、同じように市場原理は歪んでしまいます。
不動産の事例で言えば「高齢化すると賃貸住居を借りる事も難しくなるので今のうちに分譲を」なんて話さえあるぐらいで(これじゃ強迫需要でしょう)、
いかに個人の消費行動を心理的に妨げない施策を打っていくのかがポイントになります、
(単純に考えれば上記の動機で購入してしまうと、社会の高齢化=高齢者が介護住宅への転居や死亡等で一気に売却してしまうため潜在的資産デフレの要因にもなってしまう)
経済の先進国化は高寿命化や晩婚化少子化の社会現象となり、ひとりぐらしの述べ年次は年々拡大しているのであって、社会効率を考えれば「シングル系の住居を購入する方がファミリー型住居の購入よりは合理性が高い」となる筈で、
政策的にファミリー型の賃貸住居の賃料支払いに補助をすれば(それこそ高齢化と晩婚化で財政的圧迫度も少ない)、消費行動は需要原則にスムーズに連動する事になります。
同時に相続税を緩和して無用な資産デフレの要因を回避するべきで(不動産資産に対する相続課税は問題が多い)憲法における個人の資産を守るという視点からも整合性あるでしょう。
となるとですよ
一時常識的な判断で通用した「シングル住居は若い人向け」な発想では潜在需要とギャップがあって、現代社会のシングル住居に求められる内容や性能は別物。
思うに同じ1R3点ユニットでも水周りの設計で暮らしの内容は天と地ほど違う、2DKをモデファイしたシングル系住居(1LDK改装)は相当広い年齢層まで高水準の内容を提供できるし、二人入居までなら広さでストレスを感じる事も無いでしょう、
車なんかにおける発想も同じで、先進国における販売戦略に「若い人向け・男性向け・女性向け・大人向け・ファミリー向け」のようなラインナップがあれば時代遅れも甚だしい話で、先進国化のベースは「大人の個人(性別や世代では無く)」であることがベースで、個性化する選択に応じた「車種固有のキャラクター(誰がどう使うじゃなくて)」が時代に即した形で提供されないと過剰在庫を生むだけになる。
「実需に即した消費行動の妨げとなる要素が政策的失政で拡大するとしたら、経済政策以前にそもそも経済学的な成長モデルが機能しなくなる」のであって、
需要はそのもの心理学的に言えば”動機形成”に関わる事なので、その発現でどれだけ拘束されない自由な発想があるのかも大事になる(この概念は一見作り手の心理と思われがちだけれども経済学的には消費者の側に消費選択の自由が”需要”として形成される方が重要)。
文明論的にも確かにこの自由度をインターネットが急速に拡大していて、以前であれば近隣に専門店がなければ知る事の無かった商材を情報としてどこに居住していても認識する事ができる状況は、決して地元商店街にとって不利益にならないし(この親和性は又別個にエントリー書くべきかも)、実店舗の存在意義において小規模小売店の希少性価値は更に自由度を増す方向で個性化が拡大する(経済政策的に見れば潜在成長率の拡大)。
こういうベクトルに政策的方向性が追いつかない背景には、金融資本の分配が正常化していない硬直性があるためで(成長率の鈍化している守旧型大企業が延命し過ぎて資本を未だに囲い込んでしまっている)、その本丸が『政財官のコンプレックス』と考えれば話が早い。
社会心理における強迫意識のようなものが構造化するあまり、ほっとけば伸びたかもしれない産業が未だに足を引っ張られている部分は否定できない。
ここ、人材資本の硬直化含めて(新卒社員の高い離職率はこの硬直化に対する反抗と見て自然)、
思うに政権交代があれば解決するなんて簡単な話じゃないのであって、
構造改革なんてカッコ付けたキャッチフレーズではなく(その当時小泉氏の人気の背景は”ぶっ壊す”ってフレーズに尽きると思う)、硬直化し流れの悪くなっている部分はどんどん”破壊する”ぐらいの勢いが必要で、
心理学的にここ考えると、確かに「政治と暮らし」なる関係性において問題は政界というより最後の護送船団”大手メディア”なのじゃないかと思う。
<つづく>
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政治と暮らし(2)
2009年03月21日
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