ここで最初の話にもどって俯瞰で見てもらえるとおわかりかと、
経済マクロとしてデフレ時にデフレ率に合わせてリニアに値動き(値下がり)する商品持っていると「黙っていても資産は目減りする」のであって、得策じゃないのです。
見かけ上銀行金利は低金利ですから、住宅ローンも何やらお得感あるかと思いますが、デフレ時には預貯金は目減りどころか金利ゼロでも購買力は上昇する上に(物価が下落続けるので)経済が右肩上がりじゃない=マクロ的に所得の上昇も見込めないのですから、このときの住宅ローンは高金利の住宅ローンと等価になる、
(ミクロ的な短期所得額で言えば貸す側の銀行の得る所得は低利で少ないので得に見えるんですが)
※なので現代社会の新しい経済学ではGNP的なパイの大きさと分配を考えるのじゃなくて、ダイレクトに所得総額を増やす事(と消費性向の計算)で総需要政策的に経済成長を予定する方向が模索されていくのだと思います。
ほんとここは心理学なんですが、
各個人で言えばなにがしか年功的にも所得は上昇する可能性、誰しも考えるワケですが仮の話として経済が高度経済成長期であれば、その所得上昇見込みは半端な額じゃ無いのです。ですから住宅ローンを組んだとしても自分の所得もえらい勢いで上昇しますから高度経済成長期の住宅ローンはトータルで考えれば負担にならないんですよ。
しかも住宅価格も右肩上がりですから、安全に転売住み替えなんかも考えられる。
(社会的背景が経済成長による社会資産の更新期みたいな状況なんですし)
経済学的に考えるとデフレ時代(社会資産的にも成熟期)に不動産の購入をするのは得策じゃ無いんですよ。
当然マクロといってもデフレ環境には地域性ありますから、値下がりに対して耐性が強いというか値上がり始めるとすれば都市部からとなるので、東京都心部での購入はローリスクなのであって(現在で言えば地方の不動産環境が酷い状況)、それほど迷うことは無いですが東京圏だとしても近郊都府県含む通勤圏郊外は地方同様デフレに弱い事になります。
(なので前のエントリーで今ファミリー物件購入考えている人は早まらない方がいいって話をしたワケです)
そもそもここ考えていただきたいんですが、総需要としてマクロ経済の総需要がそれほどない(右肩上がりで価格上昇が無い)ってことは「経済全体として供給過剰だ」ってことなので、何らかの手法(とここが漠然としちゃうのはご理解ください)で余裕で住む場所に困ることは無い環境にあるのであって(賃貸で言えば空室の候補が余裕で10部屋以上あるとか)、社会資産として十分に住宅供給は行われているのでそこで経済政策的に政府が住宅開発を誘導するのは愚策とまでは言いませんが疑問が残るところなんです(赤字国債を発行する代わりに赤字の住宅ローンを家計所得に押し付けて公共事業のような利益誘導しているようにも見える)。
つまり総需要が後退するぐらい社会に資産は十分にあるので、むしろ固定資産税やら相続税を減税して保有資産の下落や喪失が起きない様に政策を打つべきで(金融資産的にも日本の預貯金は高齢者に集中しているので相続税やらの心配が無くなるだけでも消費が期待できる)、「持ち家だが自分は(都心生活なので)賃貸に住んでいる」なんて状況があって普通なのが先進国の環境なんですよ。
話を単純化してしまえば、経済成長が見込める経済状況が長期的に見込める時には分譲も買いなんですが長期的にデフレだなって時代には”売り”なんですよ(為替で考える方が易しいでしょうか、値下がり傾向にあるドルで保有しているより円に戻した方がいいみたいに→不動産で保有しているより円に換えた方がいい→だから相続税や売却時の不動産所得への課税を減税する方がいんです→住宅政策的にも中古市場が活況になって中古住宅を求めている世帯の購入も楽になる→流動性が活性化するってことは消費拡大であって後に経済成長となる:莫大に開発資金を社会資本として準備しなくても住宅市場における流動性は”ストック”によって確保できる:在庫はあるって事ですから)。
又、賃貸住宅の環境を整備する意味で家主さんの償却資産課税(改装した時に追加的固定資産のように課税される)を減税するとか、審査を円滑にするために「公的保証枠(高齢者の保証人問題の解決)」であるとかこういうところの整備の方が大事になります。
えーなんともうしましょうかマクロ的な要素(俯瞰)の補完をおろそかにしてしまうと、心理学的な意味で「木を見て森を見ず」みたいに”非合理的な判断を無意識に見落とししてしまう”(一種の過失性視野狭窄)こともありますよって話です。
※心理的な話は又次エントリーで
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不動産と経済動向(下)
2009年06月06日
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