需要論でもあるんですが、共同幻想の概念(保守的常識論のパッケージのようなもの)と不可分の関係にあります。
高度経済成長期にはその存在からして誰も知らなかった商材なんかも続々登場するのであって、この情報をどうやって急速に社会に認知させるか、
この方法として「説明の省略が可能(仮想常識化)なパッケージ」が販促的な世界から見れば”キャッチコピー”になるわけです。
これを好意的に解釈すれば「潜在需要の掘り起こし」であり同時に心理学的なオルタナ(漠然とした恒常的欲求ストレスに対して何らかの形で現実提示による”あっそれかも”現象)にもなり得るところなんですが、
問題なのは「先進国化した後のデフレ経済の場合どうか」って話です。
共同幻想の特徴は「自己決定(責任)的に考えなくてもいい部分を省略する」ところで、
この概念がすこぶる有効なのは近代であるとか、社会全体に学校組織を維持する力が無いとか経済に生活を維持するだけで目いっぱいな状況において、各人が目先の仕事に集中するなど余力の無い状況でも合理性のある社会規範や伝統規範を共有させることで集落を社会組織として安定させる”パッケージとしての情報の共有”において有効で、
保守哲学全般に言える事ですが、その概念の有効性は先祖の偉い人が考えましたのような(神話頼みであったりの)説明の省略で(いちいち詳細の説明があると保守体制が”なんで?”のような対応しなくてはいけなかったり、かえって面倒な説明が情報共有速度を低下させたり失敗させる)、漠然としているワケです、
しかも数百年であるとか知的権威の殿堂の閉鎖性(身分制度も合わさって神学省のように非公開の組織が概念の根本を管理する)も相まって「そもそもどうしてそうなったんだっけ?」は確認しようが無い状況になるのであって、実態としての幻想性は確信犯的に高いレベルになります。
ですから、近代以降国家が平等化であるとか学校組織を備えるとこの幻想は容易に「常識じゃなくて迷信でしょ」と次から次へと解体・瓦解していきます。
※そのため保守反動で軍国主義などの時には教育を権力が恣意的に管理する
しかし、この手法「共同幻想」無しに国家レベルの大集団における情報や概念の共有はほとんど不可能なのであって、特に民主化にける歴史の浅い(というか民主化的な闘争が歴史的に存在しない)日本の場合戦後高度経済成長までバリバリに機能する訳です。
「これで”普通”だよね」
「”普通”そうだよね」
「○○ってあれが○○なもんだよね」
「○○が常識だよね普通」
「○○ってさ普通どうするものかな縲怐v
心理学的に共同幻想は厳密に分類すれば強迫心理の一種(保守思想で合理性が担保されているので無言の合意による強迫性の無い固定観念)であって、括弧書きにあるように強迫性は無い事になっているですが、幻想としての権威性(信憑性神話みたいな)が個人の自我に支配的であるのは確かになります。
で、ここに高度経済成長期の”キャッチコピー”になるわけです。
「サラリーマンが常識、進学が常識、OL一般職から寿退社が常識、結婚したら郊外に一戸建てが常識(東京ならマンション)、白物家電(三種の神器)に巨人V9と自民党」であり、
この辺の俗称「中流」に帰属(アイデンティファイ)しないと「いけない事のような」背景に暗黙の権威性が結果として集団心理を形成する状態(受験競争等は明らかな集団的強迫心理)になります。
※”一億総中流社会”なんてキャッチコピーは社会主義的独裁国家のスローガンとなんら変わらないのであって、言わずもがなですが『総中流社会』という言葉が”抽象概念”として背景に権威性を含む強迫意識を織り込んでいる事になります。
それこそ”普通”に考えても「おおよそ健全とはいえない需要が絵に描いたように造られる」といってもいいでしょう。
この環境は「校則問題」に始まり「新人類」を経て「ニート」「都市部の晩婚化」に至る”随分と静かな反抗”によってガラガラと壊れていってはいるんですが(そもそも民主蜂起みたいな文化は無い国なので)、まだまだ個人の自我が自立・自己完結型に移行”進行中”であって随分とこの「共同幻想の弊害(固有に共同幻想に弊害があるのじゃありません歴史の流れの中で完全に強迫心理になったりするのです)」が”結果論としてめだってきている”のが現代社会です。
※個人のメンタルな問題もこの大きな歴史の流れの中の(家族の漂流のように)必然として、各先進国で常態化する問題になります。
つまり需要の底打ち的なデフレ経済というのは=先進国化の完了であって、
社会は心理的構造としても民主主義=自立・自己完結型(自己責任・個人の意思で選択が行われる自立独立性)へ移行することが自然なバランスとなります。
ですから(話は戻りますが)
■問題なのは「先進国化した後のデフレ経済の場合どうか」って話です。
ここがテーマになります、
<つづく>
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経済動向と消費者心理(1)
2009年06月10日
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