このブログでも再三この「中国政治経済への不安」の話は書いてきたところなんですが、みずほ証券のチーフエコノミストの特集記事にかなり突っ込んだ話が書いてあります。
相当の内容ですよこれは、
中国経済はそれほど強靭なのか
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091207/199508/?P=1
心配なのは『実質的ドルペッグ制』と『北京政府共産党の不安』でしょう。
特に後者に関しては以前から民主小沢氏を中心に中国人権問題であるとか民主化とは別の切り口で発言が出ていて(ガバナンスの限界)、中国政治体制の防衛(民主化ソフトランディング)を国際的な課題として捕らえている。
又前者で言えば、前々から指摘しているように世界的な金融経済の不安定要因は「本来なら暴落水準のドル余り」に他ならない。
現在のドルはアメリカという存在そのものでもっているようなもので(極端に言えば世界におけるGNP比と海兵隊本位制)、中東諸国の『ドルペッグ制』含めて(流石に中国の米国債保有も微妙に調整するなどあるみたいだけれど)ドル大暴落と引き換えの運命共同体的側面は「切っても切れない国際経済」という表現では済まされない問題じゃないか?
米国経済はご存知のように先日の金融危機以来底が見えているというか、健全化される筈も無く国内市場にこれ以上借金経済学による過剰消費の需要を期待し続けるのは構造的に無理がある。中東と米国軍事プレゼンスとの関係もしかり(アフガニスタンは泥沼化しそうだ:ドルペッグ制への不満も大きい)、先日のドバイショックしかり。
ここに中国の潜在的な不安が関係している、
日本はどうかと聞かれれば、デフレ問題が騒ぎになっていますがある意味外需依存型からの脱却をどうにかこうにか実現しようと模索中であって(外需依存の無い状況で外貨の暴落のみなら問題はない、根本的に日本の生命線は戦前同様資源の輸入確保であって円が暴落するより強い方がいいには違いない)、
上記記事サイト(日経BPネット)大前氏の記事中にも紹介されている
『日本の個人金融資産の合計が約 1,400兆円(名目GDPの約 3倍)』
http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku/exphikaku.htm
(日本銀行HP)
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「国民一人当たりの平均残高で1千万超えてるワケで」こっちの潜在需要をどう国内消費経済として循環させるかって命題こそ『大本命』であり、内需型経済実現は簡単には実現しない等という論議ではなく、これだけの「使える”財源”」をむざむざ放っておくほうがどうかしている(笑
5%でも70兆円の景気刺激策ですよ、、
しかもそれ以上にここ十年来で急激に増えた総額でいくらあるのか会計的に分析し難い法人内部留保がある(減価償却の論理で説明の付かない伸び)→少なくとも現金ストックが増えている結果では無いので経団連じゃないですが”見掛け上”の余裕は無いのは事実でしょう、しかし単年度でも数十兆はあるかという金額を帳簿上資産化される方向で”使っている”のであれば→経済成長に全く結びつかない(雇用創出効果の無い)投資効果の無い”使途”だった事になり、確証は無いけれども結果論から言えば「投資効果の無い企業が貯め込んでいる」事になる(ここも社会資本の整備が終わり投資効果を生まないのと同じ意味なのじゃ?)。
経企庁は長年この金融資産を→新築着工数的な分野に期待していたのだけれど、デフレ時代というのは先進国型経済における社会資本の整備水準の高さからくるもので(公共投資を行っても投資効果が効かない)、現代社会においては消費へ引っ張ってこなければ本物じゃない。
社会資本の整備に比して社会保障の遅れと所得分配が足を引っ張っている。
特に現行制度を改革して資産運用を前提とする年金制度に辿り着いたとしても、世界的な市場不安により安定的な運用ができるのかってその保証はどこにも無い。
なんでしょうね、資本主義なんですが「なんかの理由で」額面どおりに機能していないのは確かで。ここ動かさないといけないワケですある意味”金はある”んですから。
(これまた内部留保に関しては現金化できない資産も多いと聞きますが全部工場の設備じゃありませんから)
ここは本気に経済学で理論的に考えて戦略的に政策立案しないと失敗すれば(公共投資や内部留保の使途のように)無駄金にもなるし、成功すれば莫大な投資効果を生むワケで、国家戦略の菅副総理も亀井氏に文句言う前に「頭を使ったらこういう手がある」とガツンと政策提言をしなくちゃいけないところまで来ている。
しかしね〜聞かれてもどういう手があるんでしょうね。
潜在的に爆発的な成長力がある事には違いないので、状況は楽観していいところなんですが、「なんだこうすればいいのじゃないか」的にスパッと納得のいく話はなかなか見えてきませんね。
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世界経済はどっちへいくか
2009年12月12日
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