日本の建築物実態は総務省からDATAが発表されています。
おおまかにまとめると、
日本の共同住宅の半数以上は中高層化していて、伸びとしても高層(11階以上)が近年大きく伸びています。思うに東京首都圏に限って言えば低層指定住宅街も多いですから『木造アパートも多数ある風景』といったものは東京特有の風景となるのかもしれません。
しかしどちらにしてもそんな東京においても非木造化の流れは止まらないでしょうから、20年もしたら1、2階の低層に暮らせることがむしろレアで別の意味で価値を高めていくような気もします。
(建て替え更新の方はいい加減下落しています→というか”建て替え候補”の古築自体が減少した結果、変な言い方ですが「在庫切れ」のような状況で昭和56年以降に建築された住居は全体の6割を超えた:昭和56年が鍵となっているのは建築基準法の改正年次であるため)
何故なら一戸建て(こちらは木造中心)と同等のライフスタイルとなると木造アパートは近い存在ですし、常に業界的に語られている「供給過剰率は15%」が同総務省のDATAに裏付けられる形になってっます。
※事業物件を除く住宅に限って言えばグロスで13.9%ネットで13.1%の供給過剰、都心部は11%前後ながら15%を超える県も少なくない。総空き家の内賃貸住居や売買住居の空室が占める率が6割なので→リアルに都心部の空室率を考えれば5%〜6%の水準となる。
事業物件の空室率も6%前後と言われているので住居も同様の数値といったところ、
(賃貸や売買以外の4割の空室は用途特定の無い”空き家”って事なのでしょう)
空室率で言うなら高齢化により「単身向け高齢者住宅」が整備されていくにしたがって(高齢者世帯の22.7%は単身世帯で右肩上がりで増加中)、高齢者の住み替えにより空室率が更に上昇する可能性は高い。
都市計画上低層指定地域の木造アパートは間取り改装によって複数室を合体させるなど一戸当たりの床面積を広げる可能性高まります(これによって空室調整も進む)。
管理戸数の現象は「見かけ上のリスクヘッジの後退」となるので怖さもある一面「20室のうち統計的には常に1室〜の空室となる可能性」よりコストパフォーマンスの高い部屋へ改装する方がトータルの稼働率は上昇するし浴室等の設備維持費も管理戸数を減らす分楽になる。
拡大を続ける高層マンションは後に考えられる棟としての修繕コストも未知数なので、賃貸で考えると売買価格の大幅下落の後オーナーチェンジなどがあってから(所謂通貨的意味の切り下げ)賃料も市場連動すると思われますが、設備的に管理費が増加する可能性もあって(現在古いタイプのセントラル系マンションの管理費が膨大な事になっている現象と同様に)、運用利回りを引き下げるにも限界がある可能性もあります。
※簡単に言えば収益率が低く賃貸住居的意味の設備改修も難しくなる。
※木造アパートはルーチンの退出リフォームひとつとってもマンションより工事費用が安く、現代的に言えば『グリーン』。
な結果ですね(笑
「木造低層アパートに暮らしているなんて羨ましい」なんて時代は遠からずかも知れないのです。
<つづく>
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顕著に進む高層化・非木造化を考える(1)
2010年01月07日
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ところで『セントラル』絡みの話題を
デラックス分譲マンション(ローン不可、一括払い)第一号のシャトー三田(茶室、屋外プール、ガレージには洗車設備を備えシャトー松尾(現シャトー青山第二)、シャトー樋口に続く三棟目)が来年春に取り壊しの様です
後々のシャトー東洋南青山(セントラル撤去、温水プールの現状は不明)へと続くシャトー回廊(独立した玄関アプローチ)が当時斬新さで評判になりました
ホテル並みの広々としたロビー完備
(1992年に訳を説明し既に使われていませんでしたが見せてもらいました)
いつも貴重な情報ありがとうございます。
セントラルの今後には私ちょっと斬新なアイデアありまして、
何時になるかわかりませんが、原稿に起こす予定です。
前から思っている事なのですが、分譲マンションにおけ自主管理には限界ありますよね(ここは所有権論議も絡むところなのですが)概念そのものから見直す部分もあるように思います。
個人的には気楽なので賃貸が一番だと思っているんですけれどね、
岩原さんの様な工学的に突き詰めた内容の話題ではありませんが、以前ネットで後付の個別セントラル暖房が紹介されており
電気のいわゆる壁掛けエアコン(コンベクター)本体と室外機をそっくり専用機具へ換装するだけでOK!って代物で床暖の応用らしいです
ペアシティのルネッサンス、代々木大山などの様に個別セントラルは全館集中とは異なりあらゆる意味合いに於いて手間暇が掛からず理想的ですが・・
欧米諸国ではそれなりの規模の高層住宅ならば築浅でも皆セントラルなのに日本(主として東京)は目先の事に惑わされ結果として室外機からの放熱でヒートアイランド現象を助長する羽目となりましたね。
(暖房も同じボイラーだったりする)
建築様式が地震の問題と気候の関係(梅雨が無い)で、昔からナチュボーンで外断熱みたいになるんです。
新しい防犯性のレポート中に登場する『組積構造』。
結果RC後も外断熱系の工法が続き「基本冷房機能が無かったりする」んですよ(なものだから異常気象で熱波の時にフランスで多大な被害が出たとかなんです:冷房が無い)。
つまり設備の内容が(梅雨によって外断熱工法の難しい日本の場合)セントラルは『冷暖房エアコン』でなければならず、結構やっかいなのです(しかも元から熱伝導率が高いので非木造は結露しやすい)。
ある意味日本の場合も熱伝導率をナチュボーンで下げる効果として「壁が厚けりゃいくらか効果がある」となりますが、コンクリと砂利の大量投入は往年のヴィンテージのように望めない状況であると。
※基本日本では非木造建築の適正が難しいのは事実ですから
(熱伝導率の高い建築物の存在自体がエネルギー効率を悪化させる)
技術的にも相当考えないといけないところあるのは確かなんですよ。