通常のニュースでは相も変わらず景気後退指標として報道されているのかなと思いますが、冷静に状況分析している報道もあります。
新築80万戸割れの必然
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100204/212607/?top
「新築中心」から離れたら、新しいビジネスが見える
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100204/212521/?P=1
重要な事は、これまで日本だけ異例に第三世界並に新築着工数が多かったこと。景気後退で大幅に後退と言われている現在の状況も先進国比でいえば「普通の数字」であること(供給過剰の調整局面としては更に減少してもいいぐらい)。
そして「普通の数字で循環するような住居のあり方」って方向は景気後退と関係無く正常化だって話です。
このブログでも再三『築浅信仰』などで説明してきたところですが、これまで日本では非常識が常識化してきた証明で(その背景には多分に経済成長政策の関連がある:公共事業偏重と同じベクトルです)、その偏った常識(非常識)によって、一般社会の常識も倣って偏向していたって話なんです。
上記エントリーには私も気がついていなかったのですが、学問の分野にもその傾向があった点も問題提起されていて、『政財官学』全体の意識の中に暮らしや建築とか関係の無い経済成長シフトの潜在意識が関係していたことがわかります。
(言うならば55年体制のような戦後意識が解体していなかった)
本来この話はバブル崩壊の時に気が付かなくてはいけなかった話なんですが、当時は「不良債権問題」としてあたかも(需給や社会資本の話ではなく)金融問題として論議が縮小してしまった関係で本質が論議されてこなかったとも言えるでしょう。
「分譲か賃貸か」な論議にも消費者の受益論を飛ばして多大に経済成長シフト(うがった見方をすれば金融への救済的利益誘導)が見え隠れしていて、
北米でサブプライムが破綻したというのに(バブルの時と同じく)、本質的論議を避けて「とにかく新築着工数を伸ばしたい」かのような思惑がそのまま残っていて、ここも政策的な経済成長を織り込んだ話に違いありません。
リノベーションに関しては以前から言葉として定着してきたのは事実ですが、何と言いましょうか日本の場合『特に横文字の新語が別の意味だったりする』悪癖がここにも関係しているように思います(”リストラ”や”ワークシェアリング”なんて言葉も違う意味になっていたりする)。
リノベーションなる言葉の台頭には内装リフォーム業界の意向も関係していたり、定着したといっても言葉のニュアンスが”出来合いのリノベ”と言えばいいでしょうか業界よりにちょっと都合がいいニュアンスあったように思うんですよね。
賃貸の世界には「至極当たり前のこと」なので、以前から「内装フルリフォーム」って言葉があったワケで(昨今は賃貸でもリノベって使いますが当初言葉の出所は売買業界からだったのかもしれません)、昨今ようやく普通の前面改修的な意味に落ち着いてきたかなと思います。
考えてみれば、意識レベルではついこないだまで日本も第三世界発展途上国並の”経済成長心理”から抜け出せなかったのでしょう。
社会心理としてもその間自民党永久政権のような幻想が続いていたり、地方自治が進まず地方の再開発があられもない方向いってしまったり、外需依存が続いて国内景気にまったく関係がなかったり試行錯誤が続いたのも事実です。
皮肉な事に「デフレ経済」が転換の契機となっている状況で、
ここはひとつ腰を下ろして真剣に考えるべきテーマでしょうね。
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新築の後退ではなくこれは正常化
2010年02月18日
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