今回は将来性についてです、
『新築で前衛的ワンルームを建築するのは難しい』ってところは前回説明の条例の話でほぼ確定事項です。
結果的に『ミニマルコンパクト』はリノベーションの中で考えていくものになるでしょう。
1回目の論議で提起しているSOHO的用途やセカンドルーム的在り方を考える時に、ネットcafeの存在や、ウィークリーマンションなどを経営している法人がネットオフィースルームのような経営している点が参考になります。
■水道光熱費それぞれの基本料金契約が経費的に重いんです。
できればコンパクトになった分、利用料金は(ネットcafeにおける回線料同様)インフラ的にマンションなりが負う形で、個人契約より料金が安くなるのが好ましい。
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●勿論ここは『ミニマルコンパクト』の理想形がホテルであるため
しかしホテルのような高額な賃料では無くこれを2年契約の一般賃貸で実現するとなるとどのような方法になるでしょう。
ズバリ『セントラル方式の復活はあるか?』というテーマです。
(設計上各室洗濯機置場というのも趣旨に合いませんからランドリールームの応用編を考えてみます:後述詳細)
『セントラル方式』は往年のビンテージなどで随分導入され(当時は本当にホテルとマンションと建築的には仕様状の共通性もありました)、運用されてきましたが「区分所有分譲方式自主管理」なる内容と大規模な共有設備の保守はどうにも不都合があり、設備の老朽化により管理費が暴騰するなど、かえって建て替え促進の理由になってしまう結果も少なくありません。
事実上現代社会では放棄された設計企画です。
■ところが昨今の脱原発であるとか、発電住宅の概念や蓄電する住宅など最新鋭の技術はどれも『新型セントラル』の可能性を示唆していると思います。
高機能住宅は事実一戸建てで伸びてますが、区分所有のマンションや賃貸住居では望むべくもありません。
(まさか各室割のソーラーパネルだとか各室割のバッテリーとかじゃコストも管理も合わない話になります。)
しかも発電効率が今後向上して『売電も可能』となれば尚更です。
(現在の技術では不可能な話ですが、将来発電住宅で各個室の電気料金が無料になって尚売れるほど発電した場合?これは家主の利益になりますから、家主が積極的に設備投資に取り組むインセンティブにもなります。)
この辺の話はそれこそ1960年代にあった『中銀カプセル』なんかの論議に出てくる「メタボリズム社会」の可能性に関わります。
(はっきし言って当時早すぎた論議)
文明化の進行により高度先進国はで更なる”自立的個室化”が進みますが、これは孤立では無く(母集団を前提としていないため孤立しようが無い)、居住における自由度の拡大という意味になります。
(意味は微妙に違うのですが『個室待遇社会』的意味です)
(※推測ですが上記現象に相対としてマイカーが減少するでしょう)
セカンドルームの場合もそうですが、昭和の別荘地の発想じゃありませんから「使わない時には水道電気止めて置けばいい」みたいなワケにはいかないのでありまして、かといって『高額所得者だけの生活』であるなら文明とは言えません(それじゃ普通のブルジョア趣味です)。
広いバリエーションの中で『個室化』が進むために最も重要なのは”エネルギー効率”じゃなかろうかと思うんですよね。
※過渡的な流行として一定数の需要を確保した「ゲストルームやシェアルーム」というジャンルがありましたが、この辺の試行錯誤は(思うに社会心理的に進行している部分を読み違えていると思いますが)確かに関連性のある事だったかのかも知れません。
「インフラの共有と個室化の両立可能性」的に、
(運営趣旨も全然違ってましたが、現行の賃貸住宅に対する問題意識を需要の背景にしていたのは確か。)
『新型でコンパクトな高効率セントラル方式+住宅用発電・蓄電モジュール』
開発できないものでしょうかね、
(前述のように現在ワンルームマンションの建築には制限が多いため、リノベーションの枠内で工事ができるとなれば尚更小型モジュール化が必須になります。)
普及すればメンテナンス機材も安価に流通しますから管理維持的にも”普及”ってところが重要なポイントになります。
(加えて各パーツも電動補助付き自転車のバッテリーよろしく簡単に交換できると助かる。)
■他、室内設備的なポイント
欧米的には日本の住宅が小規模コンパクトな学生アパートのような部屋でも洗濯機置場がある事は驚きで(欧米の場合しかも洗濯乾燥機がデフォでしたから)、
同時にこれをベランダバルコニーに干すって事が彼らにとっては日本の不思議のひとつだったりします。
勿論欧米と日本とじゃ自然環境も全く違いますし、彼らは水平回転式全自動洗濯機の静かさとか知らないでしょうから(ドラム式は構造上”ドシッドシッ”振動する)、どちらに優劣があるとかって話とは全く違います。
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日本式の様式はそのまま木造建築において効率的だったものでして、西洋建築である非木造のマンションだと設計構造的な相性問題が元々あったという事なんです。
そこが中途半端なままの認知で、なんとなくそのまま推移してきたらいきなり家電メーカーがドラム式を販売し出して「何のことやら」なこの認知も中途半端になってしまった。
餅屋は餅屋の論理で、西洋式の内容にも意味があったワケで、
(マンションの場合はメンテナンスから排水配管経路・延長を最短にするのが設計のキモ)
ですから2×4高級木造アパートや、古築木造モルタルの改装の場合にはベランダバルコニー物干しどんどん可で、各室洗濯機置場、B・Tも別という設計(1DKタイプ)がデフォルトで正しいんです。
ところが(東京の場合には異例に木造住宅がまだまだありますが)総務省的に言えば日本の建築は既に半数以上が非木造化しておりまして、事実木造アパートより非木造のマンションの方が部屋探しの場合でも母数多いのが実態です。
(2×4高級木造アパートは数が少ない)
現状のファンダメンタルを踏まえれば『ミニマルコンパクト1R』を考える場合マンションを前提とした論議が無い事には始まらないところある訳です。
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ですから各室洗濯機置場とベランダバルコニー物干しは検討課題になります。
(※防犯上もそうですしそもそもタワー型高層30階以上とかで物理的にバルコニーに洗濯物干すって無理。)
▲面白味に欠ける解決策なんですが
今後の『ミニマルコンパクトデザイン』賃貸マンションは、小型の洗濯機を設備常設のがいんじゃないかと思います。
(必ずしもドラム式洗濯乾燥機である必要はない→小型容量であれば浴室乾燥などで十分に乾きますし、容量的に小型の個別乾燥機にも対応しやすい。)
そして「大型のドラム式を必用に応じてランドリールームの形で用意する」。
(50リットル超すような洗濯機設置を制限するようなスタンスですね)
設備ダブってるように見えますが、プロ的にはこの方法がいんじゃないかと思うんですけどね〜
第一室内洗濯機置場としても部屋が狭くならない。水回りの設計も随分楽になります。(小型ドラムを欧州式にキッチンにビルドインしてもいいし、水平回転式全自動でも小型で洗面と奥行が同じぐらいなら独立洗面トイレ共有型の空間に並べる事ができる。)
結果的にこういう試みは「木造アパートとマンションの差異を明快化」するので、部屋探しとライフスタイル選択も整理されてわかりやすくなると思います。
賃貸住宅の分布的に本来であれば、床面積に余裕がある地方・郊外は「広い低層木造アパート」主力であるべきで(管理維持コストも安いですから)、都心や都心近郊には一般的なマンション+ミニマルコンパクトも多数揃うみたいな形式が好ましく(地方・郊外の高層分譲マンション開発は都市構造矛盾)、賃料的選択肢も同じように選べる社会資本整備が行われるのが文明の公平性からも好ましいと思うんですよね。
東京みたいな都市生活においては、
『ミニマルコンパクト』可能性あると思うんですよ。
個人的意見も込みですが(笑
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『ミニマルコンパクト論』(3)
2012年10月19日
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