『ミニマルコンパクト』との関係
ひょんな事から「ちょっといらんモノが酷すぎないか」と思い、自室を整理してみると出るわ出るわ”資源ごみ・燃えないごみ”。普段からプライバシーエリアさえ確保されていれば(単一用途限定だけれど)居室の広さは本来それほど必要ないという主張の私ですが、ズボラにしていると古い雑誌やら廃棄決定のキーボードやら「どこの異世界にこれだけあったのか」と思うぐらいあちこちあるもので、『ミニマルコンパクト』なるテーマの実現には『所有権の概念』が関係しているのだろうと思ったところです。
「賃貸なのでやたら高価だとか重量物の家財は置きたくない」なんて話がありますよね。
これに比べて持家の一戸建てなんかだと置いておく分には困らない状況も多々あるため、モノの整理がつかないなんて事も考えられます。
曰く『所有権』の認知って雰囲気がやはり違うのではないかと、
『ミニマルコンパクト』は通常賃貸で考えられる概念ですし(分譲購入するとなればかなりアバンギャルドな方になるかと)、ファミリータイプの間取りで個室を小さくしても息が詰まるだけでしょうから(笑、これも『ミニマルコンパクト』とは言い難い。
なんと言っても「気軽に外出できるのにプライバシー占有感が強い」条件が成立しないとなかなかミニマルは成功しませんし(その意味では現代社会で表面化した賃貸における隣室音問題はここに一部被っているテーマにも思えます)、そのまま考えればやはり賃貸ベースになるかなと思います。
と、考えてみると、
『ミニマルコンパクト』の難しさって「狭小賃貸ながら高級建築張りの性能を必要とする」ところにあるのだと思われで(非常に稀に存在する狭小戸建てがその代用案になるのはココがポイントなのでしょう)、事実森で自分の陣地というか子供の遊び的空間を作ろうと考えた場合「隠れ家」的な秘密性(=高いプライバシーレベル)自然な発想として誰しもが求めるのじゃなかろうかと、
(注:後述記載にあるんですが、子供の隠れ家認知にはプライバシーの内向性過剰化になりやすい傾向があるため、自身を投影するような”いらんモノ”を殊更並べてしまう(縄張り誇示のマーキングみたいに)傾向がありますが、これはその隠れ家が不法占拠だからです(笑、)
■私はオートロック性能の本当のところは「プライバシーの確保」だと考えてますし、事実「防犯機能はむしろネガティブで、オートロックの本当の性能はプライバシーの確保」と説明しているところでありまして(昔々の西洋では中庭構造だとか屋上物干しだとかとこの集合玄関と施錠に関係していたところもあり)、マンション希望の内容には暗にエントランスのある物件という要素もおり込まれているようにも思えます。
プラス『玄関ドアのデザイン』これも地味ですが重要。
<少し話を設計関係に振りますと、>
重視すべきは玄関ホールでしょう。←格安アパートは1K1DK頼みの設計が多くて1Rの場合ここが弱い。
『ミニマルコンパクト』の成功例と言えば中銀カプセルですが、この成功例はオートロックや特殊な階段などの組み合わせやコンテナ設計で隣室と接する部分が無いなど複合的な条件によって『居室までの動線延長』が確保されているもので、玄関から直屋外の格安アパートなどでは実現が難しくなってしまいます。以前間取りの研究やった時にも「居室の内容を向上させる鍵が玄関ホールの有無」にある点挙げまして、この時は様々なパーツを駆使していかにDIY的に同等の空間の実現に成功するだろうかって話をしたところですが、格安アパートで1Rが1DKや1Kの間取りに「どうにもどこかが負けている感じ」する理由はここじゃないかと思う訳です。
リノベーションなどの時に玄関ホール設計を重視すれば格安アパートにおける1Rでも『ミニマルコンパクト』が屋外への近さを生かせるのじゃないか(本来は有利なポイント)。
どういう設計がベターなのかはデザイナーさんに検討してもらうとしまして、
話を戻しましょう。
■「賃貸だからこそ」と「プライバシーの確保」の微妙な両立が可能だったと仮定します。
この場合所有権の概念が「戸建て持家にいらんモノがたまり放題」な方向と違ってくるのではないかと考えているんです。
参考事例としてメンタルに問題を派生させていると想定される高齢者のゴミ屋敷ってありますよね。
この心理がどのようなものかと考えると『家幻想』関係の強迫心理であると想定されます。
(場合によると「過剰な所有権認知と誇示」←心理的には過剰な土地所有権紛争とどこか似ている。)『プライバシー認知の内向化(自己愛化)による∞(無限大)現象(=ブラックホール型みたいな)』これは『ミニマルコンパクト』に相反する心理になります。
(『ミニマルコンパクト』は外向性と関連性のある概念ですから←頻繁に外出するとかそういう短絡的な意味ではありません。)
ここで新たな微妙な両立が求められることがわかります。
「プライバシーと外向性」
思うにここは立地や移動手段などの周囲の環境が関係しているのではないでしょうか。
地方都市などでは車やバイク、都心郊外なら自転車、都心なら駅近、更にモバイル通信環境、
『自立性機能の確保』というか”単独での作戦遂行能力”のような背景です。
思い出してみると中銀カプセルでエポックだったのは壁埋め込み型のTVやオーディオ機器などの”フルスペック性”であり→考えてみればこれは地方における”車の装備フルスペック化”と同じです。
確かそんな話ありましたね?
「気分転換に車で首都高ぐるぐる走る人」だとか、
「車の中でカラオケの練習」だとか、
(これは一部『共同幻想論』における「風呂とトイレの中だけのプライバシー論」の延長なんですが)フルスペック装備の車両は(ミニキャンピングカー化)『ミニマルコンパクト』の原型同様。
やはり「自立活動能力と機動性」が鍵なんでしょう。
『固定化と所有権』『機動性プライバシーと外向性』
この機動性や外向性の中に「個別所有権より行動半径のシマ意識」が関係し、家財の身軽さも実現できるかもしれない(携帯含むモバイル通信の概念もここですよね)。賃貸生活があたかも持家生活に従属するような認識から独立させ「所有権的世界ではないからこその自由な可能性と高いプライバシー感の上昇を期待できる側面」あるのだと見てます。
(心理的側面で言えば「ゴミ屋敷心理」の正反対となる方向性)
■間取り研究的にはマイナーな存在である『ミニマルコンパクト』を格安アパートでも実現可能な話をどこまで引っ張るのかと自分でも思いますが(笑
ココはきたるべき「高齢化社会ひとりぐらし支援」などの住居コンセプトにもなるので、個人的にはかなり重要な要素だと思うんです。
やはり『特殊な機能を実装した玄関ホール』←それが何であるのか結論でませんが、ここに鍵があるような気がするんです。
TVモニター付きインターフォンのような付け焼刃の設備増強では無く、縁側や玄関土間のような固有名詞のある用途目的明瞭な『シングル住居ならではの玄関ホールの設計概念』みたいな発想が必要なのではないか?日本の靴を脱ぐ文化と土足文化の関係性も被っているかもしれないし(土間のように玄関ホールに求められる「準土足性」だとか)、昨今増えることが予想される玄関に電動補助付き自転車を収納可能なスペースの確保だとか、宅配便などの受け取りがそこだけで完結する空間性だとか、
高機能玄関ホールがあるからこそ平米数では無く、心理的プライバシー感の拡大によって居室の実質的な内容が上昇するようなデザイン。→同時にキッチン乃至ユニットバス入口を居室側に配するストゥディオ型1Rと組み合わせる提案。
今後展開が期待される高齢者シングル住宅などにもこういう可能性や利便性が求められていると思うんですがね〜
(それこそデスクトップ利用時には不評なwin8のロック画面ですが、「ロック画面」はタブレットでの使用時に誤って変なところ触らないようにスリープ時などの操作をロックするための画面ですが、あれも玄関ホール的な概念でしょう。高い機動性のある機能を利用する場合に必要になる緩衝地帯ですね。)
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部屋の広さといらんモノの増え方
2013年02月28日
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