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『九段会館』

2013年03月18日

ちょうどretourの取材で九段下駅にいったものですから、前々からもう一度撮影しておこうと思っていた九段会館をじっくり撮ってきたという経緯です。
(それとは又別途に撮影した時もあるのですがこれは公開時期を逃してしまいまして、)
以前の取材はこちら、
九段下ビルから靖国神社へ(3)
http://kagewari-retour.seesaa.net/article/159286590.html

(上記レポート中に登場しています。)

現在の九段会館は先日の震災時の不幸な事故により営業停止中であり、今後の予定も定かではありません。権利関係がどうなっているのか私も詳しくは無いのですが(九段会館は靖国などと切り離して考えられない部分もあり)戦後その運営は財団法人日本遺族会が行っているのですが、所有権まで移転してないのか、今回の事故から建造物は強固でも大規模な内部造作の見直しが仮に必要なのだとしたら(勿論当時の意匠を温存してとなるでしょうから)『東京駅再開発』規模の話になってしまいます。
この辺は政府なりが間にたって修繕のための融資なり調整するべき建築物だと思うのですが、
まさか所有権が全くの民間に渡り取り壊し再建になってしまうような結論にはならないよう祈ります。(考えてみればこの辺の保守管理というか戦後からの経緯そのものがどこかその手法に考えるべき点があったのかもしれないですね。)

撮影時も(勿論私がカメラポーチからカメラを取り出す時に自分で触ったのでしょうけれど)カメラを取り出すと勝手にスイッチが入り「しっかり撮るように」と言われたような気もしました。
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言うまでも無いことですが見事な建築です。
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何せ九段会館などの中に入るような機会の無い人間なものですから(営業当時は外部からの来客的に利用できる施設あったのかもしれないですね)、内部の様子を私は知らないのですが外から見ただけでもその威風というか建築当時の物量投入の規模の凄さを感じます。
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「今建築したらどれだけのコストが」等を考える事すら難しく、場合によると部材の入手や当時の技能を有する職人さんの人材など点から、同じものを作る事が不可能なのではないかとすら思います。

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前段説明のとおりで、この九段会館の存在は皇居・靖国との関係から切り離して考えることは難しく(私は特別右寄りの思想の持主でもなんでもありませんが)、文化という側面から見ても存続の道を探るべきだと思います。
なんと申しましょうか、間違った扱いをする事が許されないような力感が伝わってきます。

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正直日本は基本木造建築文化であるため(神社仏閣の建築は例外として)築年数的に淡泊な国民性があるのか「何かというと建替えてしまう」傾向があります。(国の方も経済政策的にそれを促進している部分もあり)結果ほとんどの建築物が築30年以内だみたいな実情となっており、欧州を見習うのが正しいなんて思いませんが、情緒的にも現在の方向性は「ナントカに過ぎる」でしょう。
知らない間に新しいマンションが建っていて、思い出そうとしても前が何のお店だったか思い出せない事なんて珍しい事では無くなってます。

古くは石積だったり煉瓦であったり、建築物だけに関わらず非木造のモニュメントなどが建つときにはそこに永続性というかそういう意志や意図がある筈で(そこいら辺が中途半端な経済性だけであればいっそのことプレハブで作ればいいのであり)、先人の意思云々って話になっちゃいますが後の世代が何でもかんでも”その時の経済性”で壊していいものだと思えないんです。
社会資本的にも環境性からも建替えればいいって論議はいかにも何かが浅すぎるのじゃないかと。
(※実際欧米からは日本の非木造建築が「なぜ四角四面のビルみたいなのばかりなのか」みたいな目でも見られているのであり、新しく建っているものは確かにそりゃ「新しいだから築浅ですが」その価値が”築浅”だけなのだとしたらですよ?建てたしりから早急に価値を失う事になってしまうんですから。)

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posted by kagewari/iwahara at 06:36 | Comment(4) | TrackBack(0) | 東京建築日和”Teorema” | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのコメント
1982年(昭和57)中1の夏休み、母と2泊しました!

太平洋が見たかったので苫小牧より仙台までフェリーに乗り、仙台から大阪までは飛行機、その後は京都を経由し新幹線で東京へ…

上京後に名称を知ったのですが、当時は斜め向かいに憲兵隊下士官アパート群が一種独特異様な雰囲気を醸し出しており…
母(設計士の有資格者)「わぁ!凄い!あれは戦前に建てられた社宅みたいだね!でも、ゴーストタウンだ!」
とまぁ〜そんな感じでした

さて九段会館客室の雰囲気はと申しますと…
山の上ホテル(神田駿河台)と今は無き京浜ホテル(品川駅高輪口)の中間に位置すると思います
館内全体決して豪華な内装などではありませんしかし、今思えば職人技が随所に見受けられ、正統派、いわゆる威厳がありましたよ!

かっての姿に復元された東京駅丸の内口駅舎、それに併せてリニューアルされ、すっかり高級化してしまったステーションホテル
これをお手本に九段会館も現代の高級志向に応えつつもレトロモダンの立派な設備(結婚式場、宴会、会議室、宿泊機能)を備えた会館として再出発してくれたら嬉しいです!
もし、利益優先で取り壊されたものなら私は怒りますよ!!!

川口アパートへ入居した1998年の夏に再び訪れた際は館内の食堂で和定食(決して豪華絢爛ではありません!)みたいなのを食べた記憶があります
リーズナブルな価格設定、そしてお昼時ということもあり、近隣のサラリーマンとOLが多かったですね

その後も区役所などへ行く際に通っていましたので地震報道を聞いた時はとても驚きました!
Posted by テオレマ at 2013年03月20日 19:19
あら〜うらやましい。
私は案外必ずしも建築の中に入らないと我慢ならないというところは無いのですがww、九段会館は入ってみたかったです。
まだ営業中の時には事前の知識が無く、入ってもいいもんだと知らなかったんですよ。
(そんな要件の無い人は入らないように的な)威厳あるんですよね、
是非温存してほしいものです。
Posted by kagewari/iwahara at 2013年03月21日 13:59
なんとか、存続運動を展開できないものか。

結局、特に「更地にしてビルにする」必要性がありません。

どこかのニュースサイトにブログをアップして、所有者に電話かけ運動かなぁ。

所有者というか、遺族会に貸し出しているのはどこなのだろう。
Posted by suomi at 2014年05月25日 19:49
suomi様
昔が軍人会館とのことだと所有は国なのではないでしょうか?私も詳しい事はわからないのですが(勿論戦後軍部解体で霞ヶ関内部で所有権を主張する省が無いのかもしれないですが)、
実際現地行くと誰しもが思う部分に、九段会館と靖国は一体の不動産的文化構造を形成しているので、むやみに九段会館の開発を決めていいとはおいそれと思えないんですよ。
このまま10年前後放置される事になってしまうんでしょうかね〜。それもいけない事だと思うんですが…。
Posted by kagewari/iwahar at 2014年05月26日 16:36

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