自宅SOHOの拡大にも可能性はあるのですが、今後の先進国における労働というものを考える上で”その中間的段階”として『労働時間の短縮』が考えられます(ちなみ本来のワークシェアリングの目的ははこれのこと)、先進各国の状況はどんなかとそんなところから考えてみようと思います。
週4日労働が当たり前? オランダが労働時間の短さでトップに - OECD調査
http://news.mynavi.jp/articles/2013/07/19/workweeks/index.html
(マイナビニュース:2013/07/19)
流石に長いレポートなので全文は引用できませんが、現在欧州に見られる高い失業率の問題とこの労働の時短はリンクする事項でもあります。
考えれば単純な話で、時短トレンドにある労働環境がメインになっているところに「仮に旧来の長時間労働をベースにする産業の景気回復で雇用が増えても意味が無い」って事です。
或いは「グローバリズム覇権主義」で、事実上第三世界にブルーワーカー労働を輸出するような『焼畑植民地経済』なんて短絡的な市場経済なんかやっていると目も当てられないという意味でもあり、各国の経済監督官庁がこの辺気が付かないとどうにもこうにもって話なんですが(ILOは何をやってるのかと)、世界事情を見れば「労働時間の短縮に向かう事は自明」と抑えておいて間違いないでしょう。
更にその先を見れば『ベーシックインカムとフリーエコノミー社会』へのシフトという論議にもなるのかも知れませんが、これには新しい各国政府の政策立案能力だけでは(経済学的前進とかないと)なかなか難し話でしょう。
■さてこの将来的環境は住宅の今後にどういう影響を与えるでしょうか。
実際の労働条件が「6時間労働5日」なのか「8時間労働4日」になるのか、或いは選択制になるのかちょっとわからないので様々な可能性って事のがいいでしょうね。
↑
なんか話が未来過ぎって思う方いらっしゃるかもですが、
▲それは賃貸だけの話で、かなり長期の住宅ローンで不動産購入を考えている場合10年後20年後は「今現在も同様」なんであります。
大きく分けて考えられる可能性は前述のとおり”二つのパターン”です。
住宅に置き換えてみれば、
●「6時間労働5日」の場合
・「時短をいかして更に勤務地最寄りの住居希望が増加する」
・「電車通勤にも余裕が出るので、郊外選択の場合”格安のより郊外”が増加する」
●「8時間労働4日」の場合
・「通勤日数そのものが減少するので郊外住宅希望が増加する」
・「勤務先にセカンドハウスという選択が現実的になる(この場合メイン住居は相当田舎でも可)」
総じて言えることは、ある意味二極化かなと思います。
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上記の選択肢全体に言えることですが、
・『都内におけるミニマルコンパクトの拡大』
・『高級分譲マンションの都心部集中(中途半端な郊外マンション資産価値の下落)』
・『都心・都心近郊(数駅まで)がシングル向け地域へ』
・『ファミリー向け売買における郊外戸建て選択可能性の拡大(床面積も拡大)』
(インフラ的には「都心部における新たなパーソナルシティコミューター的なものの開発」や「長距離通勤快速の増発」とかあり得るかも、)
(街経済事情で言えば都心近郊シングルエリアの商圏拡大)
実は似たような論議で、都市計画における「ドーナツ化現象」などで以前から知られている話ですが、(「ドーナツ化現象」:高度経済成長前後に見られる「戸建て郊外開発の結果都心部や近郊の旧市街が老朽化空洞化する現象」→後に高齢化や不動産バブル崩壊など経て都心回帰のトレンドへ)
労働時間短縮社会が同様に都市と郊外の不動産に影響を与えていくだろうと、そういう話です。
■特にどこから考えても「中途半端な郊外にあるファミリー向け分譲マンション」は需要減による値下がり(逆ドーナツ化とでもいうべき)懸念があるので、注意は必要かな〜と思います(元々懸念されている開発ですが)。
自動車産業的には、ファミリー向け住宅の一定率が『高郊外戸建て需要』となるのであれば、この階層に従来の一般車両需要が回復するかも知れないし(休日数が増えるケースなら尚更)、
『老と若と非婚層の都心〜都心近郊数駅シングルゾーン』では従来から自動車産業内でも研究開発が進んでいるパーソナルシティコミューター的移動手段が公共事業として発注される可能性もあるので、是非頑張ってロビー活動していただきたいところです。
※最後の部分、投資効果の高い公共事業としても相当有力なので成功すれば世界にも売り込める都市開発モデルになるかもしれません。
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日本にも「時短社会」は到来するだろうか
2013年07月26日
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