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「随分と入り組んだ間取り」

2013年11月29日

『L字玄関』と申しましょうか、横玄関を上回る居室プライバシーレベルを実現するかなりユニークな間取りです。
kanetag0m.jpg

物件自体は何か特別の反対でありまして、昭和の往年有名シリーズの一部屋なのであります。
都心東部立地で「30uシングル9万円系」に属しており、間取り一目でわかると思いますが昔は「6帖+3帖+K」だったのかなと思われる間取りをベースに洋間へ改装されているという事でしょう。
流石にL字廊下から居室入口には引き戸がある方がいいのではないかと思ったりもしますが、1Rストゥディオの設計合理性を考えますと思い切った改装と言っていいのではないでしょうか。

アイデア豊富な方ならこの長い廊下を生かしてエントランス足元に洒落た照明などを配置すれば玄関部分もDEN(納戸的な空間)のように持って行けます。
浴室はレストルーム同室タイプで、昭和マンションに時々ある「段差があって床タイル張り状」のスタイルとなっており、広さ的には余裕のB・T別と言ってもいい空間。←しかしこの真ん中にドアのあるタイプは使い勝手的に微妙じゃないかと前から思っておりまして、
なんとかトイレ側にドアを移動して浴室間にドアを設置でB・T別にできないのだろうかなどと思ってしまいますが往年の建築ですと「構造強度に一役買っている壁は半端無く強くて簡単に抜けない」だったりしますから工事的には可能でも難しいところあるんでしょうね。

それはともかく玄関がL字で室内動線はT字といった方向は、確かにバルコニー方向が方位になるのはなるんですけども、実質絵的に言えば窓の並ぶキッチンのある側が正面方位とも言えるので「横幅ワイド間取り」と解釈する事もできます。
間取りは縦長より断然横幅の広い方が開放感高いですから資料的には27uですが30uランクと位置づけできると思います。

■ちなみにお部屋の縦横比の話となりますと、前述のように原則的には”横広”のが好ましいんですが随分多数の部屋を内見してきた経験からしますと「具体的に表現するのは難しいんですが”正方形に近いスクエアな居室”」が空間認知的にもっとも開放感あるような気がします(和室で4畳半をそのまま拡大したような感じ)。
残念なから設計上「6帖以上のスクエアな居室」が設計される事は稀なので滅多にある縦横比では無いのですが、以前『分譲キラー』系マンションで22だったか23u前後の部屋なのに30uランクの部屋に入った時のような空間認知を叩きだすのに成功している実例を見た事があります。
どうやら前述の「具体的に表現するのが難しい」というポイントは”天井高を高く見せる工夫”が必要なようで、『平面上のスクエアでは無く縦横高さの三次元の比率が立方体的な?』方向に成功しないと実床面積より広い感じにならないのかも知れません。

■天井高を高く見せる設計というのは、実天井は通常通りなんですが「ハイサッシュ」となっていて、バルコニー方向の窓の開口が「上の方そのまま天井ギリまで開口させる」という手法です。
これやりますとエアコン設置位置に困るみたいな事にもなるんですが、部屋の高さ感を押し上げる効果とても大きいですね。
(ついでに下部は腰高窓としてベンチチェスト的にすると更にカッコいい)
こういう設計は『分譲キラー』系や同水準にコスト投入する『(ナンチャッテでは無く)リアルデザイナーズ』とかで見られるものですが、
「開口部位置をどうするかだけ」なんですから普通のアパートや中低層鉄骨造マンションでも狙えばできる事だと思うんですが、私建築の事よくわからないのでどうなんでしょう?やはり想像以上にコスト高になるものなんですかね〜

話を今回のお部屋に戻しますと、
あれですよ、昭和の2Kやコンパクト2DKを現代的に30uシングル向けの間取りへ改装する需要はかなりあるんで、工務店のみなさんや管理会社の方是非この方向を家主さんに推薦していただきたいと思うところです。確かに昔は2Kや2DKで10万以上で堅く貸せたお部屋ですから、それを「改装費用投入して9万レベルの賃料で」となれば、すっかり賃貸ではリノベーションなどの用語も一般的になっている昨今ですが基本的には現状回復大規模リフォームの延長で検討される事ですあり、「ファミリータイプからシングル向けへの転用」は容易な事では無いと思います。
■実際に内見に至ったワケではありませんので、実際どうだったのか確定的な事は言えませんが平面図見ただけでも有力候補の間取りでしょう。
「どうやって使おうか」と自然と考えちゃいますよね。


改装と言えば、某恵比寿方面の安いので有名な某マンションなども「ドドーンと江戸間6帖和室が襖で仕切られているだけ+小規模DK+浴室トイレ」という間取りの部屋があるんですが(法人オーナがリノベ規模の改装には積極的では無く現在も浴室バランス釜だったり)、この部屋なんか『1Rストゥディオ40u越え』に改装したら現代的な表示なら洋間15帖とかでもいけるでしょうから相当高いレベルの賃料でも需要あると思うんですよね。
思うに、この辺の改装がどしどし進まない背景には行政関係していると思います。
(賃貸住宅の改装も減価償却設備的に課税される)
政府の経済政策は「寝ても覚めても分譲開発」なのでそっち方面の金融関連の支援は大きいと思うんですが、賃貸住宅改装の支援だとか減税だとか検討してくれたら東京の不動産流通も更に促進するでしょう。
今回のように往年の間取りが思い浮かぶような改装系の資料を見ると開発もいいんですけれど古い建築をまだまだ需要に合わせて使っていく方にも政策的なものあってもおかしく無いと思うんですけどね。(戸建て住居に対するリフォームへの補助金制度などは過去あったと思いますが、少子高齢化時代への変遷は「必ずしも持家主義がベストと断言できない」時代でもありますから、世界的にも有数の文化である日本の賃貸住宅の活用はもっと積極的であるべきだと考えます。)


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posted by kagewari/iwahara at 05:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | こんな部屋があった | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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