時々触れているん話ですが、今回は設備内容では無く心理的な側面のお話です。
(最後まで書いて思ったんですが、この話は定期的に書いておくべきテーマかも知れないですね。)
私の造語に「賃貸強者と賃貸弱者」ってのがありますが、これ旅行者で考えるのが一番わかりやすいと思います。海外旅行なんかでもビギナーな方には「添乗員付きのパッケージツアー」のが安心ですよね。ベテランとビギナーって言葉からして場馴れ的な意味の強弱を表しているので”そのまんま”って言えばそのまんまなんですが。
賃貸住居の場合も「添乗員付きのパッケージツアー」みたいなスタイルから「海外バックパッカー一人旅」みたいなものまで幅があるんです。
賃貸住居の全部にエアコン設備が実装されている訳でもありませんし、電気キッチン1口の部屋から洗濯機置場防水パンの無い部屋とかから、給湯ひとつとってもオートバスからバランス釜浴室までイロイロあって勿論そこには価格比例の図式も成立しています。
私自身この仕事するまでは(個人的には引っ越し回数大変少ないので)東京はベテランでも賃貸住居に関する知識はビギナーのままでした。
ですから今回の話のベテラン云々も「転勤族」のそれのように、何らかの事情で場馴れ経験多数な方に限定されてくる話になります。一般の方大半は東京ベテランでも賃貸住居にはビギナーと分類して問題無いでしょう。
(※マーケティング的に駅前ターミナル営業店の接客が結果としてニーズにマッチするなどの社会的な関係性があるのは事実。)
■ここを不動産仲介調査を行っている場合の「顧客層」と考えてみた場合はどうでしょう?
前述のとおり東京はベテランでも引っ越し回数的にビギナーな方は=不動産仲介調査業における顧客需要母数の中心にはなりません(基本引っ越ししない選択の方になりますからね)、何らかの事情で調査依頼があるケースを考えた場合、現在の住居からのグレードアップなどを動機として複数回の引っ越し経験ある方が増える形になります。
(問い合わせ初回時で間違いなくビギナー判定できるのは新卒で上京される春ユーザーの方となります。)
この場合も、retour&Retourブログなどで広報活動している関係上、継続閲覧者の方は賃貸ベテラン的知識をお持ちとなりますから、『ベテラン向き』という概念はもっぱら私が広報している話とも言えるんですが(笑、これは前述の東京ベテランだが賃貸住居はビギナーのままだった私が強者な方に教えてもらった事や業務上知り得る多数の情報から「こういう事もあるのか」的に知った話をお伝えしたい動機がretour&Retourブログのベースになっていますから尚更です。
営業時に実体験として遭遇した「本物の賃貸強者な方」は決して多くありませんが(私も教えていただいた側の立場であり)、ここは『ベテラン向きのお部屋はCPが高い』という市場原理に反映している事になります。この強者な方がズバッとハイCPの部屋に契約していく姿を見るにつけ「なるほどこれが東京シングルライフにおける必殺スキルなのか」と驚くこととなるんですよね。
■過去実例にも、
「知る人ぞ知るの名棟」を何組も何組も案内しても契約とならなかった事例あるんですよ。
今や予約リストに名前を連ねても新規契約が不可能なぐらい凄い物件でもです(なんとその中には私じゃありませんがretour同僚が案内した事例に「現在は文化財指定級の存在であり家主意向により一般公募されていない部屋」も含まれてます)。
人間の心理そのままで「驚いちゃって契約できない」、これ本当に存在します。
あまりにも想定外で、漠然とした不安から申込めない事例は過去に多数あります。
典型的なジンクスとして「retour&Rtourブログを見て問い合わせして偶然空室のままで内見となっても成約事例は非常に少ない(ほとんど無いレベルの少なさです)」というものがあります。
「ブログで見たような部屋が他にありますか」的調査の場合はダントツで成約率が高く、見たままそのままの部屋が偶然空室の場合はそのほとんどが成約になりません。
この現象はですね(ご存じのとおりretour&Retourは募集広告では無く賃貸住宅マガジン的な広報が目的というのもあり)、記事を多数閲覧されて多数の情報取得により賃貸ベテラン化した方は=「自分の希望に沿った”こんな感じの部屋”」をやはりオリジナルに探す欲求となり新規問い合わせになるからなのでしょう。「ブログ記事そのものの部屋を」という内見希望は心理的にビギナー的な選択になるからです。
(※ちなみにretourブログ取材の部屋で一発で契約となるのは「超個性派デザイナーズ記事」など代用案も期待できないレアな物件の場合で、これは事実上内見前から契約までの指名買い問い合わせになっているからなのでしょう。)
内見時にそれが典型的に表れた経験があります。
「この部屋はブログ取材候補になるような部屋ですか?」と質問された事があるんです。
(実はretour&Retourでは殊更選抜的な事は行っておらず部屋は全て個性的なのだ的流れで取材しています。)
「いえいえいえ、この部屋が自分にとってどんな評価決めるのはあなたですよ。」
となりますよね(笑
前述の問いは『パラドックス』になっている事がわかります。
(※その問いかけは駅前ターミナル営業トークにおける「やっぱり○○だといいですよね〜」的なビギナー向け接客を求めているのと同じになっちゃうんですよ。)
その部屋に契約する人であればその反応は、
「すっごく面白いですね」となるだろうからです。
■こう考えてきますと、
『賃貸ベテラン向け』『ビギナー向き』
その差異とは心理的なものなのでしょうね。
(ですから、東京一人暮らしビギナーな方でも『ベテラン向き』の部屋がNGって事ありませんよ。)
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賃貸住居『ベテラン向き』と『ビギナー向き』心理編
2014年05月09日
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