いろんなところから統計は出ていると思います。
報道によると「まだまだ地方都市のオフィス空室率に改善の兆し無し」という事らしいですが、賃貸住居を含めて今東京圏の動きが全体的にどんな状況かと聞かれれば「都心部への移転含めて流動性の回復が見られるが東京全体で空室率が大きく回復しているとはいえない」というところでしょう。
新宿・千代田・文京・港・渋谷・中央区といった都心は実際に賃料の上昇も見られますが、
現場感覚で言うと上昇というより、資産デフレが最高潮の時に「これじゃ採算割れですか」みたいな契約が存在した物件が「ようやく周辺相場の平均値で募集できるようになってきた」水準の上昇です。
各調査がどのようにDATAをサンプリングしているのやら詳細わからないのですが、景気上向きの感触があるのは間違いないですね。
それでも、都内で都心回帰的移動が続いているのですから郊外の底打ち間はタイムラグ伴ってまだまだ本来の相場がわからない部分もあります(乱暴に言えば「落ちきって無い」)。
不動産の場合バブル崩壊の時なんかがそうでしたが「不良債権化した不動産を無理に所有し続けても財務が悪化するばかりなので空室率改善のための賃下げも付け焼刃でしか無い」傾向にあります(そこで数室の賃料増があっても債務返済が赤字のままである事に変化が無い)。
ですから、不良債権処理なんて言葉で語られた「一回デフォルトして所有者を変える」などの動きが無いと(安値で転売されれば賃下げによる空室率改善が利回り計算黒字の中で収益増となる)、あるべき水準の賃料に推移するのも難しいとこあるワケで(利回り赤字だった方は現金化により損切りする形で事業の立て直しもできる)、金融政策によるマネーサプライの増加=流動化促進により一部ですが確かに実体経済に好循環材料となるのも事実。
現実に周辺相場の下落をリードして適正相場的な底打ちを最初に明示するのは「オーナーチェンジ後の分譲賃貸」だったりするものです。
報道などでは東京のオフィス坪単価がやれ50円上がったなどの数字は出ているようですが、
ぶっちゃけた話「郊外物件の底打ち感」はまだまだだと思います。
(財務的に賃料も下げられないままの空室状がまだまだ残っているみたいな→郊外になればなるほど底地評価額が不安定なので売買の流通性もなかなか進まない。)
■確かに引越し需要や売買などの件数的に流動性が高まっている感触ありますから景気の上向き感は確かです。
但し「アベノミクスの成果を確認するためには不動産においてもインタゲの2%前後の安定的価格上昇が必要」と考えるのは無理筋でしょう。
価格がリニアに増える前提は「空室率が0の場合」ですから。
インタゲは所得分配政策でやるべきなのが現政権の政策としては正しいと思います。小学生が考えても不動産開発を資金流動性で促進しても不動産価格もインフレになるってのは無理がありすぎ。←この辺の市場原理がいまいちピンとこない方は農業の『減反政策』イメージしてもらうとわかりやすいかもです。市場価格をコントロールするには、まず最初に「需給の均衡(不動産なら空室率0)」しないと、数学的に動きませんから。
と言っても減反よろしく、空室を国庫で借り上げて見掛け上の空室率を0にするなんて社会主義みたいな政策も現実的じゃありません。
アベノミクスにより不動産が好景気になるのだとしても、その順番は「空室率が0近くになるまでまず最初に賃料が下がり」←みたいな順番になります。
戸数の話だから東京の世帯数が増加しない限り改善しないのじゃなかろうかって声もあるでしょうが、不動産の場合一戸あたりの床面積が変わる形で母数も変化可能ですから。←この場合もオーナーチェンジが進まないと難しい側面ありますが。
評判に問題のある某経済学者による「(元から失業率があるのだから)まず最初に人件費の下落から始まる現象は好循環の始まりなのだから経済にとって好材料である」とかの話と同じです。
(※景気循環の好転が給与の上昇にリニアに転じる為には「過剰設備のフル回転(機械の失業率)」「失業率を見掛け上0にする(ベーシックインカム導入)」など”所得分配政策”が有効なんですが、まだまだ経済学的に十分研究されてない分野なので試行錯誤はこれから。←所得分配政策は今回の日銀黒田砲に近いマネーサプライ政策でもあり、決して左翼的福祉政策が目的じゃありません。)
■収益率が悪化無いし赤字の不動産資産がオーナーチェンジによる賃料引き下げとなる傾向は、まだまだ継続中だと思います。都心部の分譲マンションが高騰なんて話も聞きますが、これは昨年度の消費税増税駆け込み需要に新築物件の供給が間に合わなかっただけで短期動向に過ぎないでしょう。
東京の場合「郊外賃貸物件の活性化」が確認されるまで、「本格的回復を語るのはまだまだ先の話」であり、賃貸住宅の割安間も継続するでしょう。
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都内オフィス空室率の改善見られるも今後を考える
2015年01月10日
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