前回説明の「賃貸住宅の賃料設定における利回り計算と住宅ローンの金利」の話。
少し具体的に考えてみましょう。
といってもそもそもの住宅ローンの金利なんてものがまた審査によって違ってきちゃいますし、賃貸バージョンで考えると日本の住宅ローンにはあまりない「ノンリコースローン(破綻したら鍵渡して住居を銀行に明け渡せば支払いがチャラになる)」で想定しないと賃貸不利になりますから(仮に賃貸をリコースローンと同様に考えるなら「定期借家20年契約割引」とかの通常無い想定にならないとバランスしませんから)、アバウトな計算でいきます。
日本の住宅ローンはなぜノンリコースにならなかったのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090120/183217/?P=1
昨今の東京における賃貸住宅の平均的利回りは5%〜7%です、
仮に分譲購入でリコースローンがあった場合の推定利回りは(米国なんかを参考にすると)5%ぐらいです。ここに税制優遇措置なんかがあるので3%〜4%ぐらいに想定してみましょうか。←その代わり分譲となれば固定資産税と修繕積み立てや管理費ありますけどね。
単純に考えれば利回りでいうところの1%ぐらいの差ですね。
賃料で表せば通常希望条件の15%ぐらい安い部屋と考えれば賃料は実質金利負担だけで損する部分はほとんど無くなります。
賃料7.5万希望なら6.4万、賃料12万希望なら10.2万、賃料15万希望なら13万ぐらい、
シングル中堅で一般的な賃料8.5万の場合は7.2万ぐらいになります。
安くなれば通常少し狭くなりますから光熱費も浮くので、計算より1千円2千円ぐらい高くてもいいかなと。「希望8.5万なので→あえて7.5万以下マストで」みたいな想定でだいたいOKでしょう。
※ここで重大な問題告知しておきます「私は大変数字に弱いのですww」以降の話含めて相当にアバウトな展開となっている事お許しください。
なことはともかく(笑
案外ありそうな数字だと思いません?
しかも希望条件より安い部屋でず〜っと我慢しなければならないって事もありません。目安として15年ぐらい(無難な15年ローン想定で)→40歳前までにガッツリ貯金すると「12万×15=180万」←これを何かの金融商品で運用するなりボーナスの時に大目に貯金とか考えれば230万ぐらいならアリじゃないでしょうか?
だからどうしたって言われると答えに困りますが(笑
勿論25年ローン計算なら350万なりのスケールになります。←言っておきますがこれ賃料差額分だけの貯金の割り増し金額なので+通常想定の預金額で預金合計となります。
果たして昨今の貯蓄率の下がった若年層世帯でどのぐらい想定すれば一般的なのかわからないのですが、賃料差額分が月1万ですから1万5千円ぐらい通常の貯金に回していると考えると、15年計算で合計500万超えるでしょう。25年想定なら800万超えます。
凄くベタな想定で3500万の分譲マンションの25年後の資産価値と言えば、どうでしょう(中古で売るにはリフォームしないとなかなか売れないとかもあるので現状渡しで考えると)2000万は期待できません。指値で1600万ぐらいかと(フルリフォームしたら1980万とか)。
勿論3500万の分譲マンション購入って結婚などしてって話になりますから「夫婦二人の資産」となりますよね。1600万÷2=800万。←しかもいつ現金化できるかわからない。(大手売買系の)買い取り保証は7掛けとかなのでたとえば希望価格1900万でも1400万〜1300万とかになってしまいます。
つまり早期現金化を考えると指値1600万の買い付けでも乗った方が得。800万が確実というワケでは無いのです。
あんまし違いませんよね。そりゃ勿論通常預貯金はこのケースもあるので世帯で別途400万から500万の貯金はあると思いますが、修繕積み立てと管理費分を除外して考えると前述シングルの通常預金が1万5千円なのだから(修繕積み立てと管理費を世帯として2で割って考えると)実際の著金額はかなり苦しい中での貯金になるでしょう。
具体的に言うと3500万の分譲を買うのでは無く(利回りは中古平均2600万で考えてみました←管理費のところの想定が微妙になっちゃうんですが)、
ザックリそのまんまなら賃貸の評価は「15万5千円とか?」
だとするとここを割安に→”平均”だと二人入居の2DK賃料13万5千円選択で”結果は似たようなものとなり(実質銀行賃貸である分譲と比較して)ほとんど損しない”という事になります。
若いカップルの平均的な希望賃料が11万〜12万といったところなので、なんと言っても賃貸の優位性は「所得増に合わせて引越しできる」ところにありますから、当初10年を11万〜12万で過ごせば後ろの15年は14万5千円とかでいいのであり(てか分譲と違って後ろになればなるほど高額な賃料を選択できる)、えーっとですね、分譲マンションの25年後の評価(賃料12万から13万とかでしょうか)より高いグレードの賃貸住宅で暮らしている計算になります。
※あくまでも想定なのでここをガチガチに詰めて計算するのは難しいと思いますが。
分譲の新築入居時には分譲派の勝ちなんですが、
賃貸派も(あくまでもキリギリスのように浪費せず)冷静に計算して引っ越すと、最後にグレード追い付くのかも?とかの話になります。
■そして最後は高齢者向けの(一人はいずれにしても亡くなりますから)シングルマンションのが利便性がいい。最後の現金資産にそれほど違いが無いのであれば結果は同じです。
(昭和的発想であれば分譲派の世帯は高齢者になっても引っ越さないのが一般的かもしれませんが。)
かなり回りくどい話になってきておりますが(笑
「どちらが得とか一概には言えない」のは確かでしょう。
■しかしここに「絶対分譲派が勝つシナリオ」があります。
それは「築年数で資産評価の変動が少ない中古ヴィンテージマンションを購入していたら?」というケースです(今度は修繕積み立てが増加するのでまた簡単に想定はできないのですが)、名棟であるとか千代田区みたいに資産の土地評価比率が上ものより大きいだとか、25年後でも大きく変わらない評価のあるマンションを購入した場合、多分、購入派が勝ちます。
その代わりこの購入は「限りなく銀行タイアップの新築分譲と違い」貸す銀行もそれなりに資産評価しての住宅ローンになります(長期ローンがNGのケースもあり得る)、頭金の準備含めてそれなりに資産がある前提じゃないと購入できない事も考えなくてはいけません。
えーこの場合は「頭金の貯蓄が溜まるまで”賃貸格安作戦”で行き、後に購入」という複合的作戦になるちゅう事ですね。しかも労働力年数の兼ね合いから「結局ある程度高所得の人に向いている」事になりますので(そもそも高所得で住宅ローンの審査強い人は最安金利のローンが組める)、
「やっぱりこれは想定外」なのかも?
■話は戻りますが、冒頭説明のとおりで日本の住宅ローンは「リコースローン(破綻して家を取られても返済が残る)」による定金利なので、「見かけ上分譲のほうが得」に見えます。
しかし、資産リスクを借りる側が取る事で実現する低金利なので「銀行から融資を受けて謎の債権に投資した」かのようなリスクあっての話です。
日本のリコースローンの場合は「売買価格では無く、マンションの実価値を評価できる(原価率的に)」緻密な知識が必要で←ここをすっ飛ばしている方かなりいらっしゃるのではないかと。
やっぱり、購入するなら中古マンションのが(市場によりその評価は新築分譲よりプルーフされているので)安全なのは確かです。
(昔retourが珍しく売買取引した某戸建ては確か3500万ぐらいでしたけれど、購入当時億の値段がかかった物件でした。そういうのだと買って間違い無いのですけどね。滅多にあるものでは無いですし、様々な点からこの物件も通常の住宅ローンは難しい物件だったりましたから、誰でも準備無く購入できるというものでは無かったのですが。)
なんだかまとまりの無い話になってしまいましたね(笑
■どっちが得とか詰めて考えるのは(あっちもこっちも想定となるので)「こうだとこうだ」みたいに断言はできないものなのです。
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前回の”少し続き”賃料安めの目安
2015年05月22日
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