このテーマもほぼ毎年取り上げておりますが、
重要な話になりますからしつこく書いておこうと思います。
本来日本には非木造建築は気候的に向いておりません。梅雨があるからです。
想定外の湿気などでコンクリートの劣化が心配されるため(水酸化カルシウムの溶出)外断熱工法がほとんどNGとなっています=無断熱なんです。
水分によるコンクリートの劣化防止のために、外壁ではタイルを張ったり、打ちっ放しでも樹脂コーティングしたりしているのは劣化防止のためです。
これが外断熱となれば断熱材が接触するところにも(内側)劣化防止の塗装などが必要となり工法的にも無理が多くなってしまうワケですね。
ちなみにRC造などでも居室部分は「スラブ直張り」のが現代では好ましいと判断されるためか、以前の和室造作にあったような「床下デッキ構造」はほとんど見られなくなっており、すべからく水周りの配管は「最短最小であるべき」という趣旨から「浴室から洗面などのフロア下のみを配管スペースとする」のが通常となってます。
(※これがRC造などでB・T別が少ない理由。←配管の関係でRC造の水周り設備は一直線に並ぶような感じで連続していなければならない。=設計自由度が無くRC造のシングル向けの部屋においてもB・T別設計を行うとだいたいが床面積の過半を占め、豪華水周りの中にベッドを置いた暮らしのような設計になってしまう。)
特に分譲マンションなどの場合「定期メンテナンスで外壁やバルコニー部分の防水塗装補修が重要」なのです。
ここも正直なところ言うと、バルコニーの存在は躯体全体の劣化要因でもあるので「本来はRC造の場合バルコニーなど無い方が建築上好ましい」のでありまして(最強のRC造はホテル建築)、管理コストが増えてしまうのはやむを得ないところなのです。
(※財務省がどのような趣旨でそうしたのかわかりませんが、当初耐用年数60年だったところを現在は47年としており、海外などにおいては築100年越えも余裕のRC造が「何故にそんな短い耐用年数設定となっているのか謎」なのでありまして、造る側も建築の耐用性をそれほど気にしていない結果が「住居と言えばバルコニーマスト」の背景のひとつとなっているかもしれません。)
さて、そんなワケで管理のしっかりしている分譲や管理重視のオーナーによる賃貸マンションの場合ですとバルコニーはしっかり防水塗装されているかと思います。
■夏にはバルコニーに水打ちする事で室内の温度上昇を抑制できます。
非木造は(特にRC造)、その熱伝導率の高さからバルコニーの表面温度がもろに室内に伝わってしまいます。屋外駐車場の上にレジャーシート引いて休憩しようと思う人いませんよね(笑
ぶっちゃけそんな感じになってしまうのです。
(※それもあってRC造などの場合方位ベストは「朝日だけ重視で北東向きベスト論」なんてのもあるんです。ちなみに室内の明るさは前方見出しで決まるので方位に関係は無く、西日を避ける話があるようにバルコニー南向き趣旨も”垂直に近くなる南中の日照角度”を計算に入れているので、南向きも室内に日照を入れたいからではありません。ホテルでも”いい部屋”のバロメーターは方位では無く眺望。)
しかもシングル向きマンションなどの場合、設計上「だいたいベッドの配置は窓際のバルコニー近く」だったりしませんか?
これじゃ暑くてかなわないのでありますが、他に有力な置き場所もありませんし、強引に窓際を空けても「特にフローロング床の表面温度はどんどん上昇するばかり」となります。
そこで、バルコニーへの水打ちです。室温的に何℃ぐらいの差となるのか確たるところはわかりませんが、理論的に確実に効果のある方法になります。
(防水塗装で直ぐに水が流れてしまう場合が大半かと思いますが、目的は打ち水で直接バルコニーの表面温度を下げる事にあるので、そこは気にせずまんべんなく水をかけるのがコツになると思います。)
■昭和の往年建築の中には、この傾向を予め織り込んで「バルコニーレスでフラワーボックス常設とし窓も腰高窓」というマンションもあったのですが(棟内ランドリールーム設備の設計や屋上が物干し場となった)、日本的生活は「シングル向けの部屋といえども個人で洗濯機を設置したい」という需要が強いため、自動的にバルコニーを設置するのが一般化しました。
当初洗濯機置場がバルコニー置きだったのも、この辺の流れからくるものなのでしょう。
設計上の趣旨から読み解くと、洗濯機置場が洗面室などの完全室内置きとなっているものは「建築士的にはぶっちゃけバルコニーを物干し場にして欲しくない」のでありまして、
昨今の「洗濯機置き場完全室内希望」の方は、設計意匠や建築上の概念として=バルコニーを物干し場にしない事を同時に希望している事をそれとなく理解いただけると何かとスムーズかと、、。
(そもそも超高層階では屋外に洗濯物干せませんしね。)
話は冒頭に戻りますが、
■ぶっちゃけ日本にはやはり木造建築が適しているんです。
しかし、いかんせん総務省調べでも最近の建築物の大半は”非木造”であり、エアコンが常設されていく背景のひとつにもなっているのでしょう(おかげで都市部は余計ヒートアイランド化していってます)。
パッシブソーラーハウスなどの前衛エコ建築も確か木造建築だった筈です。日本的生活の理想は「庭付き木造戸建て」なんですよね。
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夏恒例の非木造マンションなどにおける熱対策
2015年08月06日
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