■一昨日昨日と九州で大きな地震がありました。
被害にあわれた方、不運にも亡くなられた方、お見舞いお悔やみ申し上げます。
同様強度の地震が群発している状況になってきています。
予定を変更して急遽「住居の耐震性や災害対策」をショートレポートでお伝えしようと思います。
■一部報道で耐震性と建築年次云々の話が行われておりますが、
新しい目の建築にも被害は及んでおり、一概に年式だけで言えるものではありません。
(過去にも同レポートしていますがRC造に関しては旧耐震基準時代からほぼ現行同様の性能を保持しています。)
今回の災害では「1階駐車場型建築の強度や増改築を思わせるもの」あるいは「(老朽化木造建築など)従来から目視でもリスクが認識できる状態の建築物」の他に、
「文化財として耐震性能が確保されている建築」・「耐震補強が行われていると思われる建築」・「耐震性強度の強いRC造」など建築スペック性能評価的に問題が無いと思われる建築にも被害が続いている感触があります。
●上記後者の被害は建築スペック以外の『地盤』や『周囲の環境』が被害の主要な要因となっており、倒壊建築事例の中に潰れた1階に巻き込まれるような形で隣接駐車場の車両が”地中に倒れ込む様子”も確認されています(このケースは明らかに地盤そのものに被害が及んだ結果と思われます)。
自治体HPのハザードマップなどで各種情報が確認できます。
今回地震が”連鎖的に群発”しています、九州・四国地方の方で中央構造線沿いにお住まいの方は、念のため確認されることをお勧めします。
※中央構造線
https://ja.wikipedia.org/wiki/中央構造線
■耐震基準の目安となる建築年次が全く関係無いと言っているのではありません。
過去レポートでも木造と鉄骨造に関しては旧法より新法基準年次のものが大幅に性能向上する点を記載しています。建築年次が新しくてもタワー型など高層建築の長周期地震動リスクについても説明しています。
倒壊の恐れの無い建築でも高層階の揺れ幅は大きく、余震が続く事でそのまま生活できないケースも考えられます(建築年次に関わらず高層階には別途備えるべき部分がある)。
居住者の被災という点から見れば「家具倒壊への注意」これがダントツに重要ですが、ここも耐震性能だけでは測れないですし、高層階の長周期地震動とも大きく関係があります。
●ここまで記載のとおり「建築スペック以外のポイントに複数のチェック項目があります」
災害は複合的要因で発生拡大します。
ハザードマップに関しては、地盤だけでなく火災延焼のリスクも確認要です。
高層階お住まいで高齢世帯の方、不安がある場合は(気象庁の話ですと1週から2週の注意のようなので)、安全な地域にこの時だけ避難しておくのもアリだと思います。
<以下は長期的内容含む確認点です>
●住宅選びや被害予防的に優先するべきポイントを見誤ってはいけません。
今回のレポートも趣旨は上記点に尽きます。
話を「家具の倒壊」に絞って考えてみると(”免震”を例外に)耐震性能だけでは測れません。
各種防災固定器具に頼るのも問題があるように思います。壁が傾くような状況もありますから、壁に簡単な器具で固定してもどれほどの強度を確保できるのか未知数だからです(持ち家なら壁面収納家具は”建付け”とすることをお勧めします。)。
RC造の場合も造作壁(かぶり)としてコンクリート壁の内側にコンパネで造作壁の施工を行う場合が決して少なくありません(この場合も建築強度高くても固定先の造作壁が傾く可能性はある)、
※倒壊の心配がある背の高い家財は寝具の近くから遠ざけましょう。
(可能であれば安全が確保されるまで寝室から移動しましょう。)
■倒壊という点から言えば単純な話「縦横比(低い高さでフットプリントが大きいものは倒れない)や重量」など物理的安定度と製品スペックに記載されている『耐加重性能』も確認しておくべきです。
場合によっては天井から落下物があってもその家財が支えとなって身を守る可能性もあります。
安価で「ベニヤ板太鼓構造のもの」には強度を期待できません。
クローゼットの無い場合に通販などで別途購入組み立て式のワードローブなどは(躯体が重量級で頑丈なら天井に突っ張る形の固定器具が有効)、寝具近くでは無く対抗面や玄関寄りに配置しましょう。
前述のとおり別途購入タイプが一概に不利という意味ではありません。仮に倒壊しても(耐加重量性能など)頑丈な造りであれば壁や天井造作の落下があった時に生存空間を残す支えになる場合もあるからです。
ここはケースバイケースで判断ください。
(太鼓構造のものはコツコツ叩けば音で判断できます。)
「ベッド枠木の強度」も大事に思います。
重量級のものはかなりの強度をもっています(一度解体したことあるのでよくわかります)。
”スプリングマット部分には強度がありません”、しかしベットの脇に伏せることで枠木強度が高ければ生存空間を残す可能性あります。もしもの場合の退避方法としてケースバイケースで判断ください。
※ベッドの下は強度的に安全ではありません。
■最も注意が必要なのは、伝統的な和風生活の「箪笥と寝具布団」です。
本来和風建築は床面積に余裕があれば「寝室と箪笥部屋は別」なのですが、コンパクトに暮らす場合何気に寝具の近くに箪笥をレイアウトするケースがかなり多いと思います。
箪笥近くに布団を敷いて寝ないように注意してください。
昔ながらの箪笥自体には強度高いものもあります。倒れても問題の無い位置まで寝具を離せば、もしもの場合箪笥が倒壊しても生存空間を確保する可能性あります。
ケースバイケースで判断ください。
などなど、ほとんどの状況で自己責任ケースバイケースの判断が必要になります。
(家財の強度は住宅の耐震性のような性能表記ありませんので)荷重性能などを参考になる事になりますが、自治体ハザードマップとともに自主的に確認する事をお勧めします。
繰り返します、
●被災リスクは「住居の耐震性能」だけでは”測れません”。
高層階にお住まいの場合には別途揺れ幅リスクが存在します。
最も注意が必要なのが(住居性能以上に)「家財の倒壊」です。
今回の地震に関して言えば、1週間2週間は「中央構造線沿い」注意が必要です。
落ち着いて確認しておきましょう。
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