本来このブログはあまり心理学メインではないのですが、
先日記事でも書いたブラジル大統領選のその後など(メディアではトンチキな報道しているようですが)米大統領選以降世に知られるようになった社会的対立構造の背景は『共同幻想』の崩壊です。
※『共同幻想』とは吉本隆明が提唱した集団心理の総称で、極端に言えば言語や通貨も『共同幻想』です(そうだねと認識を多数が共有することで成立する概念)
昔は大本営発表のような「こういうものだよね」や「こうだからわかりましたか」みたいな概念に、まだまだ教育なんて公的制度が整備される前は、「ですよね」と”適応”することで社会性を醸成してきたワケですが(欧米で言えば古くは教会権力、日本では世間様教という村社会秩序)、
●大学進学率が6割超えるなどとなれば(そもそも大学の元祖が宗教系神学校だったりするのですから)社会を束ねる概念として広報された「こういうものだよね」の大元がどうしてなのか市井の庶民も知ることになります(ルターの宗教改革の目玉は『聖書』の出版です)。
つまり『共同幻想』による全体主義的な社会性は先進国化するなかで自然崩壊します。
(古い同調圧力話法の「そうだよね」の過半が、現代社会ではハラスメントとされ、コンプライアンス要件になっておりまして)
●個性化の時代の台頭です(各人が公的概念を個人でどうなのか判断する時代)
経済学的に言えば、仮想通貨の登場などがまさにそれで(通貨という『共同幻想』も権力から分離するのかという)、
■さて現代の個性化の時代だからといって、特別何かが変化するのではありません。
宗教性だって伝統文化として残り続けます(個人で葬儀のなんとやらを考えるとかあまり聞きませんよね《確かに散骨などそれを個人ベースに置き換える流れもありますが》)。
地域性含めて、「この辺の社会秩序は」って英国のコモンセンスに相当する慣習法やその背景事情ってのも話を聞けば(そうだよねでは無くて)「なるほどそういうことなの」と理解が及ぶ。
所詮人の考えることですから、保守的結論と大きく違わないこともあるんです。
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そこに台頭したのが、(陰謀論ではなくて言葉の意味そのままの)ネオ・コンサバティブ
私は”確信犯的保守”とか”再選択者”とか呼んでますが、
人格の全部じゃありませんが、公共セクター的部分を「なるほどそういうことなの保守選択」する個性化した現代の個人が増えることになります(勿論その一部には米リバタリアン的な自由原理主義派など例外事項も含むですが、社会的流れは同じものです)。
●この現象を理解できない旧『共同幻想』系のエスタブリッシュメント達は(知識人や左翼アカデミズムや大手メディアなど)「ネトウヨ」と蔑視するんですが(方やマスゴミと揶揄され返される)、
この両者は構造的にまったく相互理解ができないのです。
現代人から見れば、『共同幻想』系は「どうかしちゃってる宗教信者」に見えますし、
自称インテリの左翼系エスタブリッシュメント達からは「庶民はバカだから右傾化してる」ってなことになってしまし、双方が根本的に相手の考えが”理解できない”関係にあります。
言うならばこれは”社会性認識の対立”であり(或いは秩序感覚の対立)、
近代だったら余裕で内戦になるような話なんです。
ブラジルにしろ米国にしろそれがデモに終わっていることが、どれだけ現代社会が文明的になったのだろうかという証で(なんせ原因は庶民の高学歴化ですから)、
【これ、決して悪い話ではありません】
(追い込まれてる旧『共同幻想』系のエスタブリッシュメント達は何が起きているのかわからずに、狼狽し不正や検閲にまで手を付けている有り様ですが、、《昨今まで続いたアベガーなどに関しては「人格破綻して発〇しちゃったの?」ってレベルです》)
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心理学的に括弧書きを埋めると、
『共同幻想』適応系人格は、権威性認知をほぼ無条件で鵜呑みにしますから(絶対視)、昔の伝統宗教における狂信的信者の様相を呈します(現代では追い込まれ反動化するため)、イスラム原理主義運動のようなものがアラブ社会だけのものと思ったら違います。
環境保護過激派などのメンタルも、中身はISとそれほど違わないのです。
「”その支えを失ったら人格破綻する不安”に突き動かされている」状態、
(『共同幻想』の世俗化崩壊など断じて受け入れられない)
この対立はしばらく続くと思います(これという解決策もありませんから《しかし時間が解決するネタであるのは確かです》)
しかしこの状況は、俯瞰で見れば【決して悪い話ではありません】
方向性(高学歴による個性化)は悪くない方に進行中だと思います。
●日本の漫画やアニメなどのサブカルシーンを見ればわかることですが
「どれほど創造性か豊かなことか(昭和には考えられない作品が続出してます)」
『共同幻想』論、言い出しっぺの吉本もサブカルを高く評価してました、彼がその後の展開をどこまで予見していたかわかりませんが、「そうなってきましたよ」って話だと思うのです。
よくいう欧米の”分断”の本質(どうしたって心理学になりますが)
2022年11月04日
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